教員の働き方 地域も協力し負担減急げ

西日本新聞

 文部科学省の中央教育審議会(中教審)で、公立小中学校などの教員の働き方改革を巡る議論が大詰めを迎えている。

 特別部会でまとまった答申案によると、教員が担う業務を抜本的に見直し、負担の軽減を図る。時間外勤務については、企業を対象にした働き方改革関連法に準じ、原則月45時間以内、特別な事情があっても月100時間未満に抑えるガイドライン案も示された。今月中にも文科相に答申するという。

 日本の教員の勤務時間は国際比較でも突出して長い。文科省の2016年度教員勤務実態調査では、超過勤務時間数は、中学教諭の約6割、小学教諭の約3割が「過労死ライン」(月平均80時間)を超えていた。中教審が数値目標を明示して是正するよう求めたことを、教育現場は重く受け止める必要がある。

 答申案は業務を14に分類し、登下校の対応、給食費などの徴収や夜間見回りなどを「学校以外が担うべき業務」と整理した。学校の業務だが「必ずしも教員が担う必要がない」ことには、各種調査・統計への回答、部活動などが列記されている。

 学習指導要領の改定で授業時間数が増え、いじめの深刻化を防ぐ初期対応などの負担も増している現状を踏まえれば、妥当な仕分け方と言えよう。教員が児童生徒にしっかり向き合うには、ゆとりが必要だ。教育委員会や学校は早急に教員の業務見直しに取り掛かってほしい。

 教員の仕事は、成績処理などが集中する学期末や学年末に増えがちだ。このため、答申案は労働時間を年単位で調整する「変形労働時間制」の導入検討も提案した。繁忙期に勤務時間が長くなる分、夏休みに休暇をまとめて取る。そんな仕組みだ。

 ただ、まとめ休暇の取得が、学期中の長時間労働容認を助長するようでは本末転倒だ。導入する場合は、日々の勤務が過重にならぬよう、一定のルールが求められるだろう。

 基本給の4%相当を一律上乗せする代わりに、修学旅行など一部の業務を除いて時間外手当を支給しないことを認めた特別措置法が、長時間労働の一因という指摘は根強い。しかし、答申案は見直しを先送りした。

 何時間働いても残業代に反映されない現状では、勤務時間管理の意識は現場に根付きにくい。制度をさらに検証し、どうしても避けられない残業には、働きに応じて手当を支給する仕組みへの移行を検討すべきだ。

 教員の働き方改革は現場の取り組みだけでは実現できない。保護者を含めた地域住民が理解を深め、負担軽減に協力する必要がある。学校を中心に地域で議論を広げることも肝要だ。

=2019/01/20付 西日本新聞朝刊=

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