【動画あり】防衛副大臣、馬毛島調査の意向伝達 地元首長は移転賛否保留

西日本新聞

会談に臨む原田副大臣(手前左)と三反園知事(同右)=21日午後、鹿児島市 拡大

会談に臨む原田副大臣(手前左)と三反園知事(同右)=21日午後、鹿児島市

 米軍空母艦載機の陸上空母離着陸訓練(FCLP)の移転候補地となっている馬毛島(鹿児島県西之表市)の買収を巡り、原田憲治防衛副大臣が21日、八板俊輔市長と三反園訓(みたぞのさとし)知事を訪ね、今月下旬にも島の調査に入る意向を伝えた。市長も知事も訓練受け入れの賛否は示さず、土地売買交渉の現状確認にとどめた。

【動画】馬毛島の買収を巡り防衛副大臣と面会した西之表市の八板俊輔市長は米軍訓練移転反対を住民に伝えた

【動画】昨年10月に上陸した馬毛島の様子

 政府は馬毛島の99%以上を所有する東京の開発会社「タストン・エアポート」から約160億円で島を購入する仮契約を9日に結び、本年度内にも正式な売買契約を結ぶ方針。移転後の施設整備や米側との協議のため、現地で建物や気象の調査、測量などを行う。

 市役所で市長と会談した原田氏は3月末までに調査を終える方針を伝え「本件は安全保障上の重要課題。地元にはさまざまな思いがあると思うので、丁寧に説明して理解を求めていきたい」と話した。八板市長は会談後、調査に理解を示しつつ「(受け入れに関する考えを)はっきり申し上げられるのは(売買契約が)確定したとき」と述べた。

 県庁で原田氏と会談した三反園知事は「地元の意向が最も重要」とする従来の考えを伝えた。土地売買交渉の進捗(しんちょく)について原田氏は「金額や時期など、防衛省としてはまだ固まってない」と説明した。

 訓練に提供する自衛隊施設用地の取得に市や県の同意は必要ないが、港湾部分の使用は管理者の市に権限がある。

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反対派「ノー示して」 賛成派「地域が潤う」

 馬毛島(鹿児島県西之表市)の買収を巡り、原田憲治防衛副大臣が現地調査への協力要請に訪れた21日、同市では米軍による陸上空母離着陸訓練(FCLP)の移転に対する賛否の声が入り乱れた。

 午前9時。同市役所には、種子島の島民だけでなく屋久島や鹿児島市の住民を含む反対派約100人が集結。2年前の市長選で移転反対を公約した八板俊輔市長に対し「反対を実践してほしい」とエールを送った。会談内容を報告した市長が「選挙の時も今も(訓練反対の)考え方は変わっていない」と述べると拍手が起きた。一方で、市長が副大臣に明確には反対姿勢を示さず現地調査を受け入れたことについて、同市の小浜至徳(よしのり)さん(75)は「今、(反対の)強い態度を示しておかないとなし崩しになる」と懸念した。

 賛成派約10人は「歓迎FCLP」の看板を掲げて出迎えた。元自衛官の高石勝人さん(60)は「賛成の意思を伝え、存在感を示そうと集まった。財政的な支援で地域が潤う」と訴えた。

 種子島では近年、自衛隊の訓練が度々行われ、昨年は日米共同訓練もあった。同県中種子町の町議は「町のスーパーに自衛隊員が買い物に来て、地ならしをしている。町民の危機感は薄くなった」と語る。反対運動に取り組む西之表市の山内光典さん(68)は「国がすることだから、とあきらめはしない」と力を込めた。

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【ワードBOX】馬毛島

 鹿児島県・種子島の西12キロにあり、面積は820ヘクタール。1973年の石油ショックの後、石油国家備蓄基地構想が浮上して「地上げ」が進み、80年に無人島になった。95年には鹿児島県が日本版スペースシャトルの着陸場候補地に名乗りを上げたが頓挫。タストン・エアポートの親会社が96年に島の所有権を得た。同社は陸上空母離着陸訓練(FCLP)誘致を目指して開発、南北4.2キロ、東西2.4キロの滑走路を整備し2011年に候補地になった。現在は社員が常駐。島内には希少種のマゲシカが生息する。

=2019/01/22付 西日本新聞朝刊=

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