バンコク消えた青空 大気汚染深刻、政府が対策 根付かぬマスク着用、識者危機感

西日本新聞

 【バンコク浜田耕治】タイの首都バンコクで大気汚染が深刻化している。政府は空中の汚染物質を少しでも減らそうと、人工雨を降らせる対策に乗り出したが、効果は一時的。マスクは品薄の状態で市民への普及率はまだ低く、専門家は「危険性が過小評価されている」と警告している。

 バンコクやその近郊では1月に入り、自動車の排ガスや野焼き、建設現場の粉じんなどが主な発生源となる微小粒子状物質(PM2・5)の濃度が、環境基準を大幅に超える日が続く。現在は乾期のため、雨が少ないことも影響している。

 14日朝には空気質指数(AQI)が、健康に悪影響が出始める100を超えて183に達し、環境保護団体は「バンコクは大気汚染がひどい世界の都市の8位になった」と発表した。政府は15日から航空機で薬剤を空中にまき、人工雨を降らせる試みを開始。鉄道工事の中断や道路への散水など、対策に懸命だ。

 汚染の背景には経済成長があるが、長期的な対策の欠如ものぞく。カセサート大のウィサヌ准教授は「人手不足で雑草を処分せず野焼きする農家への支援や、車の排ガス規制強化が必要。長期化すれば医療費の増加で経済にも悪影響を及ぼす」と指摘する。

 市民の一部はマスクで自衛しているが、多くの店は品薄の状態。熱帯の気候のためマスク着用の習慣がなく、使用を嫌がる人も少なくない。ウィサヌ氏は「PM2・5は静かな殺し屋だ。その危険性を甘く見ないでほしい」と訴えた。

=2019/01/22付 西日本新聞朝刊=

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