沖ノ島への“羅針盤”登場 県がスマホアプリ開発 方角探し「遥拝」

西日本新聞 ふくおか都市圏版

宗像市のさつき松原。この日はかすんで見えなかったが、アプリで沖ノ島の方角を見つけた。正面は地島 拡大

宗像市のさつき松原。この日はかすんで見えなかったが、アプリで沖ノ島の方角を見つけた。正面は地島

福津市手光で年1回行われている沖ノ島ごもり。この場所でアプリを起動すると、沖ノ島の方角に向かって祭壇がしつらえられていることが分かった

 沖ノ島、どの方向に見える? 上陸できない世界遺産、沖ノ島(宗像市)の島影を海岸などで探せるスマートフォン用アプリ「みちびき沖ノ島」を、県世界遺産室が開発した。宗像地域の人々は古来、沖ノ島を水平線上に探しては祈る「遥拝(ようはい)」を続けてきた。沖ノ島をスマホで探しながら、遥拝に込められた思いを知ってもらうことも狙いという。

 「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」の世界遺産登録後、宗像大社や大島(宗像市)、新原・奴山古墳群(福津市)への来訪者が増加している。沖ノ島は禁忌で、一般人の上陸ができないこともかなり認知されてきたが、「せめて島影だけでも見たい」という声は強い。

 本土から約60キロ離れた沖ノ島は見慣れていないと見つけづらく、天候によっては見えない日も多い。そこで県は、衛星利用測位システム(GPS)による位置情報を使って方角を示すアプリを開発、無料でダウンロードできるようにした。アプリを起動すると、今居る場所からどの方向に見えるか、画面上で矢印が示してくれる。見えるスポットを紹介する地図機能もあり、沖ノ島に最も近い大島に設置されたライブカメラ映像も見ることができる。

   ◇    ◇

 遥拝は海岸だけでなく、農村部でも行われてきた。福津市手光(てびか)では明治時代、疫病調伏を祈って山上で「沖ノ島ごもり」が行われたとの記録が残る。現在はふもとの須賀神社で続いているが、最初に行われた場所は判明していない。

 昨年12月。住民やボランティアガイドらは、その痕跡を探して地元の通称「竹の山」に登った。山頂近くで数カ所、木々の間から玄界灘を望める地点があった。そのたびにスマホで「みちびき沖ノ島」を起動しては、本当に沖ノ島の方角かどうかを確認。結局、山上の遥拝場所の特定までは至らなかったが、「この場所かもしれない」と思える地点もあったという。

 一行は下山後、須賀神社に立ち寄った。神事の際、祭壇を設営する地点でアプリを起動すると、ちょうど沖ノ島の方角であることが判明。「海の見えない農村に居ても、先祖たちは正確に方角を知っていたんだ」と驚きの声が広がった。

=2019/01/22付 西日本新聞朝刊=

PR

アクセスランキング

PR

注目のテーマ