【福岡コンフィデンシャル】宿泊税で溝 選挙で「仕返し」

西日本新聞

 与野党相乗りの4年前から一転、保守分裂に突き進む知事選。「非常に面白くなってきた。どんどん盛り上がってほしい」。福岡市長の高島宗一郎は15日の定例会見で、こう語った。知事選では特定候補を支援する可能性も示唆する高島。背景には、宿泊税問題を巡って露呈した知事、小川洋との不和がある。

 昨年11月1日午後、福岡市・天神のアクロス福岡。伝統工芸品に関するイベントの記念式典前、県と福岡市が対立する宿泊税問題に関し、小川は高島にトップ会談を申し入れたが、高島からは県のこれまでの対応への不満を突きつけられた。小川は終了後、困り顔で周囲にこう漏らした。「『知事選で仕返ししてやる』って言われたよ」

 高島は、県の対応に当初から不信感を抱いていた。昨年2月に県に宿泊税導入を尋ねた際、県から「検討していない」と返事を受けたが、小川は翌3月に導入の是非を議論する有識者会議の設置を表明。市のこの会議への参加申し入れに対しても、県は発言権がないオブザーバーとしてなら認めると伝えてきた。

 対立が表面化した後の昨年9月18日に県庁で予定されていた宿泊税を巡る県と福岡市の初協議では、会議室前に並ぶ報道陣のカメラを見るや、市担当者はきびすを返した。「県はマスコミを使って県と市の対立をあおっている」。2カ月後に市長選を控えていた高島は、いら立ちを募らせた。

 小川が呼び掛けたその日のうちに、事務方による協議を進めることでは合意した2人。ただ、わだかまりが消えたわけではない。

 合意から約2週間後に迎えた福岡市長選投開票日。小川は高島3選のお祝いに駆けつけるか否か、ぎりぎりまで悩んでいた。冷遇されるのを懸念する県幹部に対し、「それなら、その場面をマスコミに見てもらうのもいい」ともくろんだ小川。訪問の決意を固めていた夜、小川事務所長の携帯が鳴った。「場の雰囲気が悪くなるのでご遠慮ください」。高島事務所からの断りの連絡だった。

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 今月15日の定例会見で、宿泊税について問われた小川は「必要に応じてトップ会談をやりたい思いは変わってない」とあらためて強調した。ただ、事務方協議は深まっておらず、トップ会談のめどは立っていない。県幹部は「(副総理兼財務相の)麻生太郎さんが推す武内さんが知事選に出る状況で、麻生さんに近い高島さんが事態打開に向けた会談に応じ、敵に塩を送ることはないでしょ」と眉をひそめる。

 埋まらない小川と高島の溝-。ただ、自民党県連にとっては「好都合」だ。

 県連は麻生の主導で、3選を目指す小川をよそに元厚生労働省官僚の武内和久を推薦候補に決定した。麻生と高島にとって小川は「共通の敵」。市長選で過去最多約28万票を得た高島とタッグを組めれば、知名度で劣る武内にとって大きな武器になるとみる。

 県連選対委員長の参院議員、大家敏志は周囲に「高島を引っ張り出せれば勝負になるところまで持っていける」と話す。武内も昨年12月29日の記者会見で「高島市長には敬意を示しており、しっかり話ができる関係になっていくと信じている」と秋波を送った。

 ただ、高島人気がそのまま武内に浸透するかどうかは不透明だ。小川側には「高島の人気は福岡市内限定だ。高島が向こうに付いても影響は小さい」と楽観視する声もある。

 高島は「福岡市民にとって最大の幸福はどの候補に投票すればいいのか、ということに関し、後押ししていくこともあり得る」と小川を揺さぶる。宿泊税問題で深まった両者の溝は、知事選にどんな影を落とすのか。 (敬称略)

=2019/01/22付 西日本新聞朝刊=

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