僕は目で音を聴く(35)手話通訳に配慮を

 今回は手話通訳の話です。スマートフォンの翻訳、筆談などのアプリで代用できるようになってきましたが、例えば文章が苦手な高齢のろう者にとって、病院で自分の病状を詳しく伝えるときなど、やはり手話通訳をしてくれる人は必要不可欠。聞こえる人との間で気持ちをつなぎ、聞こえない人に情報を保障する大切な役目です。

 資格は2種類あり、厚生労働省の手話通訳技能認定試験に受かった人が「通訳士」で、全国で約3600人。これとは別に全国の統一試験に合格し、県に登録した人を「通訳者」といいます。しかし、通訳できる人は全体的に数が足りないと言われています。福岡県久留米市で長く通訳をされている方によると仕事のほとんどはボランティアで、勉強して試験を受け、資格を取るのもほぼ自己負担。「生活できる保障がない」のが一番の原因のようです。

 妻もボランティアで手話通訳をやっています。真冬に、外であったイベントで通訳を務めたときは、手を震わせて頑張っていました。手話は手が命なので、酷寒は天敵。「指を曲げるのも必死だった」そうです。通訳者の近くにストーブを置くなどの配慮があってもいいのに…。妻は翌日、寝込んでしまいました。主催者は、とりあえず手話通訳を置いておけばいい-などと考えていたのではないでしょうか。

 イベントや講演会で通訳を見かける機会は増えましたが、会社内にはほとんどいません。通訳が必要な人のプライバシー保護、あるいは外部の人が入ってくるのを拒む、という考え方かもしれませんが、社内の会議などで困る聴覚障害者も少なくありません。手話通訳には守秘義務があるので会社でもどんどん活用してほしいです。

 外国によっては、法律で公的な場所に必ず手話通訳を置くと決まっているところもあるようです。日本でも警察、病院、市役所、消防署、空港、駅、大学などで手話をできる人をまず雇用することから始めてみてはいかがでしょう。

 (サラリーマン兼漫画家、福岡県久留米市)

 ◆プロフィール 本名瀧本大介、ペンネームが平本龍之介。1980年東京都生まれ。2008年から福岡県久留米市在住。漫画はブログ=https://note.mu/hao2002a/=でも公開中。

※平本龍之介さんによる漫画「ひらもとの人生道」第1巻(デザインエッグ社発行)が好評発売中!

=2019/01/17付 西日本新聞朝刊=

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