「麦わらの一味」の像、市町村で争奪戦 1番人気のキャラは…熊本

西日本新聞

熊本県庁プロムナードに設置されているルフィ像=熊本市 拡大

熊本県庁プロムナードに設置されているルフィ像=熊本市

ルフィの仲間の特徴と像の設置希望市町村一覧(C)尾田栄一郎/集英社※ONEPIECE.com参照

 人気漫画「ONE PIECE(ワンピース)」の主人公ルフィの仲間の像を熊本地震の被災地に設置する計画を巡り、熊本県は県内31市町村から提案のあった計51案を発表した。近く候補地選びを始める。ルフィ率いる海賊団「麦わらの一味」の仲間8キャラクターのうち、1番人気は考古学者の「ロビン」で、13市町村が手を挙げた。コミックス発行部数世界一を誇り、海外でも人気の高い作品だけに各市町村は像の行方を注視する。

 「世界的に著名な作品。仲間たちの像が熊本の将来の発展につながっていくものになれば、と大変期待している」。昨年12月に全面再開した市動植物園などへの設置を提案した熊本市の大西一史市長は、21日の定例記者会見で計画への思いをこう述べた。

 ワンピースは主人公ルフィが仲間と海賊王を目指し冒険する物語。同市出身の漫画家尾田栄一郎さん(44)が1997年から集英社の週刊少年ジャンプで連載を始め、コミックス累計発行部数は4億3千万部超。2015年にギネス世界記録に認定されている。

 計画は、県が昨年春に尾田さんに県民栄誉賞を贈ったことがきっかけで実現。昨年11月末には一足先に、県庁プロムナードにルフィ像が設置された。

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 仲間の像の設置について県は、第2希望までのキャラと設置場所を提案するよう市町村に募った。最大のポイントは、キャラの特徴や背景と、市町村の復興に向けた物語を結びつけることだ。

 地震で市役所庁舎が使えなくなった宇土市は、今後建設する新庁舎に船大工「フランキー」を提案した。「作中で一味の新たな船を造ったフランキーに、庁舎再建の力になってほしい」と市担当者。産山村は地震後に医療介護の人材不足が課題で船医「チョッパー」を選んだ。

 甚大な被害を受けた益城町が選んだのは、幼少期に飢えを経験したコック「サンジ」。町担当者は「給食センターが被災し、子どもたちが給食を食べられなかった。地震当時、町民の多くも空腹を経験しており、親和性が高い」。

 隣の西原村は、第1希望として航海士「ナミ」を提案。村担当者は「村内は風が強く風車が設置されている土地柄。風を読む力があるナミに、被災者の復興への追い風を吹かせてもらいたい、という思いも込めた」と説明する。

 1番人気の「ロビン」は、キャラの設定が文化財の再建や地震の教訓継承といった課題を絡めやすかったとみられる。このうち、熊本市は「考古学者として、20年以上かかる石垣復旧の力になってほしい」と熊本城近くの観光施設に設置を希望した。

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 提案には作品の理解が不可欠で、各自治体はファンの若手職員を中心に知恵を絞った。剣道が盛んなことなどを理由に剣士「ゾロ」を希望した大津町は、若手職員と民間の有志ら約10人で検討会を設置。地元高校生の意見も聞き、提案内容を詰めたという。ある市町村の関係者は「ぜひ、うちに欲しい。しっかり審査を見守りたい」と集客効果への期待を隠さない。

 ルフィ像設置から約2カ月。「土日を含め、県庁を訪れる人は確実に増えた」と話すのは、県秘書グループの府高隆課長。「以前は県庁に来ることは考えられなかった若い人も多く、成人式などで記念撮影にも使われていた」と強調する。

 「麦わらの一味」の世界観と震災復興をリンクさせ、新しい「熊本の物語」をどう描くのか。県は4月、設置場所を公表する。

=2019/01/24付 西日本新聞夕刊=