下関北九州道路が争点に 推進=北橋、秋武氏「既存路の老朽化に備え」 反対=永田氏「耐震性や採算性に疑問」

西日本新聞

 北九州市中心部と山口県下関市を新たに結ぶ「下関北九州道路」(下北道路)の建設推進の是非が、27日投開票の北九州市長選の争点となっている。4選を目指す現職の北橋健治氏(65)と、地元水産加工会社社長の新人秋武政道氏(58)の2人は推進の立場。共産党県委員会常任委員の新人永田浩一氏(53)=共産推薦=は見直しを訴えている。争点を探った。

 推進派は、関門トンネルの開通が1958年、関門橋が73年と、九州と中国地方を結ぶ大動脈が老朽化していることを、建設の大きな理由に掲げる。

 福岡県など関係自治体によると、トンネルは近年、補修工事や事故による通行止めが年間200回超に上る。橋を含め、補修しながら使い続けることは可能だが、北橋氏は「落盤事故などの懸念は消えず、絶対に必要だ」とし、秋武氏も「今すぐにでも造るべきだ」と力を入れる。

 両氏は、昨年の西日本豪雨で関門橋をつなぐ高速網が通行止めとなり混乱したことなどを引き合いに、道路網の多重性(リダンダンシー)確保を主張。両市中心部が結ばれ、交流人口の増加や物流活性化、新たな観光ルートの整備も可能になるとしている。

 関係自治体は2017年度から(1)ルート(2)構造(3)整備手法-に関する調査検討会を設置。本年度中に自治体側の調査を終え、本格着工に向けた国の調査に移行できるかが大きな焦点だ。

 概算の事業規模は1600億~1800億円。既に最有力ルート=地図参照=は固まっているが、▽橋とトンネルのどちらを選ぶか▽建設段階や道路の管理に対し民間企業を関与させ、事業の効率化や公費負担を減らすことができるか-も課題として残る。

 下北道路の建設を推進している参院議員の大家敏志氏は21日、北橋氏の応援集会で「北橋市長と県知事が同じ方向で進めば、10年もかからずに道路ができる」などと強調した。

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 これに対し、永田氏は下北道路の建設反対を主張している。

 問題視するのは安全性だ。最有力ルートの真下には、小倉北区から関門海峡を挟んで下関市まで延びる「小倉東断層」(約23キロ)があるとされる。発生頻度は不明だが、最大マグニチュード7・1程度の大地震が想定されており、耐震性に疑問を投げ掛ける。

 一方、市などは「断層が存在したとしても、現在の技術で対応可能だ」との地質専門家の意見などを基に「建設に支障はない」との立場だ。

 永田氏は「トンネルと橋の通行量は1日約6万5千台だが、許容量は十分にあり、今後も大きく通行量が増えることは考えにくい」と必要性も疑問視。事業規模や想定の通行料などを分析すると「採算がとれないはずだ」と訴えている。

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【ワードBOX】下関北九州道路

 1991年に関係自治体による「関門海峡道路整備促進期成同盟会」の設立が始まり。山口県下関市彦島迫町付近-小倉北区西港町(約8キロ、海峡部約2・6キロ)が最有力ルート。2017年度から始まった関係自治体による調査終了後、国の事業評価や環境アセスメントを経て着工した場合、橋だと完成は最短で「30年代半ば」(国土交通省幹部)とされる。

=2019/01/25付 西日本新聞朝刊=

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