赤潮検知にドローン、AI 五島・クロマグロ養殖 長崎大グループ迅速化へ実験 伝達まで12時間→15分

西日本新聞

 クロマグロの養殖が盛んな五島市で、赤潮情報をいち早く養殖業者へ伝えるため、小型無人機(ドローン)や人工知能(AI)を活用した実証実験が進んでいる。長崎大大学院工学研究科などのグループは、従来の赤潮検知の手法では約12時間かかった分析結果の伝達が約15分まで短縮できたと説明。2021年ごろのシステム実用化を目指している。

 同研究科とシステム開発会社「システムファイブ」(長崎市)、携帯電話大手KDDI(東京)は、五島市と協力して昨年7月、実験に着手。今月22日に現地で記者会見し、これまでの成果を発表した。

 同研究科の山本郁夫教授によると、研究グループはあらゆるモノをインターネットで接続するIotのシステムにより、養殖の赤潮被害低減を目指している。

 ドローンで撮影する上空150メートルからの画像で養殖海域の着色の程度を把握し、赤潮発生のリスクが高い区域を特定。別の自動航行が可能なドローンを発生が疑わしい場所に飛ばし、水深1、3、5メートルの3カ所からサンプルの海水を採取した上で、有害プランクトンを識別するために顕微鏡で画像データ化する。

 固定センサーで入手する水温や海水中の酸素量のほか、風向きなども含め、各種データをAIで解析し、「赤潮発生の危険性あり」と判断された場合は養殖業者などにメールで即座に知らせる仕組みとなっている。

 五島では6業者がクロマグロ養殖に取り組んでいるが、2013年度と15年度に発生した赤潮では、養殖されているクロマグロやマダイにそれぞれ約2千万円の被害が出た。特にクロマグロは他の魚種に比べ赤潮に弱く、死滅を防ぐ対応の迅速化のためには、船で海水サンプルを採取する従来の検知手法の改善が課題となっているという。

 実証実験は総務省の「IoTサービス創出支援事業」を活用した取り組みで、2月末までの予定。長崎大がプロジェクトを統括して全体のシステムを設計・開発。システムファイブは解析ソフトを制作した。KDDIは情報通信面の構想づくりなどを担い、今後、完成したシステムの販路も検討する。

 山本教授は「赤潮は日本各地で発生する。早期に赤潮が予見できれば養殖業の発展や食の確保につながっていく」と話している。

=2019/01/27付 西日本新聞朝刊=

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