張りのある声は以前と変わらないのに

西日本新聞

 張りのある声は以前と変わらないのに、その言葉にどきっとした。「遺作になるかもしれないと思いまして」

 電話の主は長崎県佐世保市の黒岩誠さん(78)。取材で訪ねたのは4年前。退職後に本格的に始めた山岳写真はプロの領域だった。「千点以上に及ぶ名作・力作・秀作から選び抜いた13点」でつくる「山と渓谷社」(東京)の今年のカレンダー「美しき日本の山」の1枚に選ばれたという喜びの声だったのだけれど-。

 昨年末、畑仕事で100キロはあろうかという巨石を動かそうとして膝に重傷を負い、手術を受けたという。カレンダーを飾ったのはピンクのミヤマキリシマに染まる大分県・くじゅうの北大船山。入院前の“最後”の作品だった。

 「重い機材を背負っての山行は難しいかもしれませんが、リハビリに励んで無理せずもう少し頑張ります」。こちらも叱咤(しった)激励された気分。6月になったら、花咲く絶景目指して登ろう。 (阪口由美)

=2019/01/28付 西日本新聞朝刊=

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