「はやり風十七屋からひきはじめ」という古い川柳がある…

西日本新聞

 「はやり風十七屋からひきはじめ」という古い川柳がある。十七屋とは江戸の飛脚業者のこと。諸国を往来する中で真っ先に風邪を運んでくると揶揄(やゆ)したものだ

▼空を越え海を渡り、誰もが容易に国境を行き来する現代。どこから風邪のもとが入り込むのか分かったものではない。ちなみに自ら分裂して増えるものが細菌、自己増殖できず別の細胞に寄生して活動するのがウイルスと区別される

▼南極などの極寒の地ではさしものウイルスも生存できないらしい。それでも日本からの物資が届くと、越冬隊の間に風邪が広まったこともあったそうだ。その生命力は恐ろしくたくましい

▼今季もインフルエンザの流行が拡大している。紙面でも集団感染や学級、学校閉鎖のニュースが連日続く。先日は東京の地下鉄で、感染して体調不良だったとみられる女性が線路に転落。電車にはねられて亡くなる痛ましい事故もあった

▼手洗いやマスク着用による予防。症状が出たら外出せず、自宅でしっかり休養と栄養。敵は1万分の1ミリほどの極小サイズなれど、しばらくは最大限の警戒態勢を敷いて危険なシーズンを乗り切りたい

▼清水次郎長親分は自宅にナポレオンやワシントンの肖像画を飾っていた。頭痛や発熱の時は「おれの敵だ」と思ってウーンとにらみつける。「そのうち汗が出てきて風邪が治るんだ」と言ったそうだ。無論、効能不明。お勧めはできません。

=2019/01/28付 西日本新聞朝刊=

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