めったに小説を読まなくなったが、村田沙耶香さんの芥川賞受賞作「コンビニ人間」は世評通り面白かった

西日本新聞

 めったに小説を読まなくなったが、村田沙耶香さんの芥川賞受賞作「コンビニ人間」は世評通り面白かった。主人公は幼い頃から社会に適合できない36歳の女性。就職や結婚をしないまま18年間、コンビニエンスストアでアルバイトをしている。同僚男性との交流を通して「私は人間である以上にコンビニ店員」「私の細胞全部が、コンビニのために存在している」と自らの存在理由を悟るとの内容だ。

 「普通」とは何かと問い、多様さが許容されないこの国の在り方や、組織で働くことの滑稽さを描いているように感じた。作者の黒い笑いの対象に、わが身も含まれているようで考えさせられた。

 平成の30年間で急成長したコンビニ。全国津々浦々に店舗があり、夜を煌々(こうこう)と照らすその姿は都市でも、農村でも風景の一部となっている。そんな身近なコンビニが、複雑多岐な現代社会を照射する文学として昇華されたと思うと趣深い。 (本山友彦)

=2019/01/30付 西日本新聞朝刊=

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