【街 みらい】高齢者雇用ミスマッチ 求人増でも重労働… 北九州シルバーセンター72・8歳 経験生かした仕事創出へ

西日本新聞 北九州版

 北九州市シルバー人材センター(小倉北区)に、高齢化の波が押し寄せている。1989年に67・9歳だった会員の平均年齢は72・8歳に。経験豊富な高齢者に活路を見いだそうと、労働力不足に悩む企業側の求人は増加傾向にあるが、高齢者には重労働となるような求人で安全を考慮したセンター側が断るケースも出てきた。高齢者と雇用する側との間に「ミスマッチ」が起きている。

 「ここに配線が埋まって、空調設備はここにある」。AIMビル(小倉北区)を管理する北九州輸入促進センターの秋永敏行さん(69)は、ビルの設計図を広げて改修の計画を立てていた。1級建築士の秋永さんは大手ゼネコンを退職後、市シルバー人材センターに会員登録。1週間に20時間未満勤務している。ビル内を改修する際に、委託した建設業者の施行状況を確認するなどしている。秋永さんは「体を動かすのにちょうど良い。孫のお小遣い稼ぎにもなる」と笑う。北九州輸入促進センターの高崎郁夫総務課長は「フルタイムで働くほどの仕事量はないが、専門職は必要。助かっている」とうなずく。

 市シルバー人材センターは、高齢者に就業機会を提供するために89年に設立。現在、60歳以上の男女約3千人が会員登録している。高齢化は進み、75歳以上が35%を占める。

 寄せられる求人や受託業務は、除草や清掃などの軽作業がほとんどだった。それが近年、秋永さんのような専門職や営業企画といった多様な求人が増えている。「若い正社員がやるような仕事の依頼が増えた。若者不足の影響もあるのではないか」。市シルバー人材センターの坂井桂子事務局長はこう指摘する。

 課題はほかにもある。人手不足を反映して、工場労働の求人が増加していることだ。フォークリフトを使う仕事や工場内の重量物を人力で積む求人もあり、会員の体調などを考慮して依頼を断るケースが増えた。

 近年、市シルバー人材センターが力を入れ始めたのが、子育てや体が不自由になるなどした高齢者の支援だ。「子育てママ応援サービス」は育児経験が豊富な会員を派遣し、学校の送迎などを担う。遠方に住む親族などの依頼を受ける「親孝行代行サービス」は1人暮らしの高齢者などに、食事の支度や話し相手などを務める。坂井事務局長は「高齢化した会員に合った仕事を作りだし、社会にも貢献したい」と話した。

=2019/01/30付 西日本新聞朝刊=

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ