被災瓦並べ“熊本城” 老人施設の中庭に描く

西日本新聞

天寿園の中庭に、熊本城の破損瓦で描かれた熊本城。利用者の木村哲夫さんは「何度も見に来てしまう」と話す 拡大

天寿園の中庭に、熊本城の破損瓦で描かれた熊本城。利用者の木村哲夫さんは「何度も見に来てしまう」と話す

 熊本市南区奥古閑町の特別養護老人ホーム「天寿園」に、2016年4月の熊本地震で破損した熊本城天守閣の瓦を並べた“城”がお目見えし、利用者を楽しませている。瓦は昨秋、熊本市が販売した際に購入。施設職員が「復旧現場に行けない利用者に、城を見せたい」と発案した。

 施設を運営する社会福祉法人寿量会によると、地震後に熊本城の被災を伝えるニュースを見た利用者から「城の様子を見たいが、現地に行けないことが悲しい」との声が相次いだ。そこで城に少しでも触れられるようにと、破損瓦約1トンを千円で購入したという。

 瓦は昨年12月上旬、地元建設会社の協力も得て施設に運ばれ、職員や利用者で瓦を迎え入れる「お迎えの儀」を開催。一部は玄関に展示したほか、職員たちが施設の中庭に瓦を並べて熊本城を再現し、「くまもと城」の文字も描いた。

 職員の清田隆広さん(37)は「利用者の方から『あと約20年かかる完全復旧まで生きられん』との話も聞き、なんとかお城を見せられないものかと考えた」と話す。今後、瓦に着色するなどし、実物の熊本城に近づける予定という。

 利用者の木村哲夫さん(102)は「中庭を見た時はびっくりし、うれしかった。何度も見に来てしまう」と話す。「職場が近くにあった50年ほど前にはよく訪れていた。熊本城の瓦がこんなに重いということも初めて知ることができて幸せ」

 市によると、昨秋に販売した破損瓦の多くは、1960年の天守閣再建時に製造された。寿量会を含め県内外の民間企業や学校法人など計12業者が計37トンを購入。建材や作品作りなどにも活用される予定という。

 破損瓦は残り約163トン分あり、市は2月1日まで購入を希望する事業者を募っている。

=2019/01/31付 西日本新聞朝刊=

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