外国籍の子ども 教育難民にしてはならぬ

西日本新聞

 厚生労働省が、昨年10月時点での外国人労働者数が146万人を超え、過去最多を更新したと発表した。この10年間で約3倍に増えたことになる。

 4月には改正入管難民法が施行され、新たな在留資格として「特定技能」が設けられる。政府は5年間で最大約34万5千人の受け入れを見込んでいる。働く外国人はさらに増加することは間違いない。社会の受け入れ態勢を整える必要がある。

 政府は昨年末、共生社会実現のための総合的対応策をまとめた。外国人向けの一元的相談窓口の創設や適正な労働環境の整備など内容は多岐にわたる。着実に実行することが肝要だ。

 労働者だけでなく、外国籍の子どもに対する支援の拡充も喫緊の課題である。中でも教育分野の取り組みが大切だ。文部科学省の2016年度調査では、日本語指導が必要な外国籍の児童生徒は約3万4千人で、この10年で1・5倍に増えた。九州7県では約550人が暮らす。

 新在留資格の一つである特定技能2号の外国人は、家族の帯同が認められる。子どもの数は増え続けるに違いない。

 外国籍の子どもは義務教育の対象外だが、希望すれば公立小中学校などに通学できる。文科省は日本語を指導できる教員の配置強化などに取り組んでいるが、対象者の増加に追い付いていないのが現状だ。

 地域に外国人コミュニティーが生まれ、その子どもが多く通う学校がある一方で、外国籍の子どもは在籍していても数人程度という学校が域内に散在する自治体もある。地域の特性や学校の実情に応じ、外国人支援に取り組むNPOと連携するなど知恵を絞って人材配置を進め、きめ細かい学習支援を求めたい。意思疎通などのため情報通信機器も積極的に活用したい。

 家庭の経済事情などで学校に通っていない外国籍の子どもが全国に大勢いる。就学状況を確認していない自治体も少なくない。教育の機会はすべての子どもに保障されるべきだ。国は自治体任せにせず、まずは実態を調査し、就学を促す施策に取り組む必要があろう。

 超党派の国会議員連盟が日本語教育推進基本法(仮称)の制定を目指している。施策の対象には児童生徒も含まれる。迎え入れた外国人に対する日本語教育について、国や自治体の責任を明確化する意義は大きい。自治体やNPOの意見も取り入れながら議論を深めてほしい。

 日本語の習得支援の大きな眼目は、外国人と日本人の共生を円滑に進めることにある。多様な言語や文化を理解し尊重する風潮を、学校や社会に根付かせる努力も忘れてはならない。

=2019/01/31付 西日本新聞朝刊=

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