初のサラリーマン役は猫背で 映画「七つの会議」主演 野村萬斎さん

西日本新聞

 池井戸潤原作の映画「七つの会議」は“働くことの正義”をテーマにしたサラリーマンの物語。福澤克雄監督をはじめ、TVドラマ「半沢直樹」を手掛けたスタッフや豪華俳優陣が再びそろいました。映画では野村萬斎さんが、初のサラリーマン役として主役のぐうたら社員を演じています。

 -サラリーマン役は初めてだそうですね。

 ★野村 オファーがあったときはうれしかったけれど、できるかなあ、と。ちゃんと脚本を読んで、その通りやればサラリーマンにはなりますが、僕の場合、狂言での姿勢の良さがあるので、ちょっと現代のサラリーマンとしては生活感が出ないかなあ、と。それでわざと猫背にしたり、無精ひげを生やしたりして、普段と違う役作りになりました。狂言の舞台では無精ひげはあり得ないので…。

 -逆に、狂言の所作が生かされた部分はありますか。

 ★野村 そう多くはないのですが、場の空気に緊張感を持たせたり緩和させたり、というのは僕らの真骨頂ではありますので、それが使えたのではないかと思います。ぐうたらサラリーマンという役どころのぐうたらな感じは、太郎冠者などからのヒントもあります。

 -最初はぐうたらを強調した感じでした。

 ★野村 まあ、この人は何も背負わないからこそ強いんだ、という役を描くのにちょうどいいなと思います。ある種、謎の多い人物ですから、謎解きを楽しんでいただくためにも。

 -後半は正義感あふれる人物になっていきます。

 ★野村 ええ、ぐうたらからちょっと怪しい男になり、それでどうなるか。非常にスリリングに、かつサスペンスのように不思議なことが次々に起こっていきます。後半の役のイメージとしては清貧というか、庶民の味方という感じです。「社会派」と「エンターテインメント」という言葉が見事にマッチしていると思います。

 -「半沢直樹」にも出演した北大路欣也さん、香川照之さん、及川光博さん、片岡愛之助さんなどの俳優陣と共演しています。

 ★野村 大スターと演技バトルをしましたね。どんな球を投げても返してくださる方々ですし、こちらもどんな球も返してやろうと、キャッチボールが広がりました。そういうバトルを好まれる監督でしたので、迫力ある画面の連続ですよね。一対一の対戦もあれば、大勢の対戦もある。せりふ以外に顔相撲というか、かもしだすオーラでのバトルもありました。

 -あらためて映画全体を通しての見どころは。

 ★野村 ひょっとすると、私が演じた八角がかっこいいなあと思うのは「人間ファースト」だからですね。個人主義の「自分ファースト」ではなく、会社に従う「会社ファースト」でもない。人間としてどうあるべきか、公正・正義を考える。社内ではぐうたら社員として下に見られている人が、巨大なものに立ち向かっていく。それは日本人の判官びいきというか、そういう面白みも感じていただけると思います。

 それと、一口にサラリーマンといっても、映画にはさまざまな人物が登場しますので、必ず自分に近い人がいるはず。それを探すのも映画の魅力でしょうか。

 -ところで、九州にもよく訪れていますが、九州の食べ物では何が好きですか。

 ★野村 福岡ではゆずごしょうですね。最近は東京でもスーパーに並ぶようになりましたけど。それとモツ鍋もおいしい。熊本では馬刺しかな。

 -九州ファンの反応はどうですか。

 ★野村 熱いところがありますよね。自ら楽しもう、ということで、ラテン系というか明るいというか。大衆演劇が盛んだったりするので、役者をうまく乗せることに、たけてらっしゃる方が多いですね。

 ▼のむら・まんさい 1966年生まれ、東京都出身。狂言師の祖父と父に師事し、3歳で初舞台を踏む。85年に「乱」で映画初出演。94年に「萬斎」を襲名する。NHK大河ドラマ「花の乱」や連続テレビ小説「あぐり」などに出演し、NHK・Eテレ「にほんごであそぼ」でも活躍。映画では「陰陽師」「のぼうの城」などで主演を務めた。


=2019/02/02付 西日本新聞朝刊=

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