用途広がるドローン、安全確保へ備え 人手不足解消に期待 適度な規制で「安心」醸成

西日本新聞

 政府が航空法を改正し、無人航空機ドローンの事故防止対策を強化する背景には、ドローン活用を人手不足対策の柱にしたい思惑がある。人工知能(AI)や大容量通信技術との結びつきを強めることで、物流や警備など幅広い分野での活用が見込めるドローン。活用拡大で起こりうるトラブルを回避するため、今のうちに安全対策のルールを整備しておくのが狙いだ。

 ドローンの用途は長らく、ラジコン趣味や農薬散布に限られていた。爆発的に広まったのは2010年以降。仏パロット社や中国DJI社が、スマートフォンで操縦したり、搭載カメラの画像を見たりできる機体を売り出し、まずは趣味の世界で空撮画像を動画投稿サイトやSNS(会員制交流サイト)に公開する楽しみ方が広がった。

 性能が進化するにつれて産業用も普及。16年の熊本地震では、行方不明者の捜索や、崩落した阿蘇大橋(熊本県南阿蘇村)の被害確認に貢献した。

 作物や養殖の成長状況を空撮し、AIと連動して肥料や餌の量を判断する技術の開発など、最近では先端技術と組み合わせた多様な実証実験が全国で行われている。空撮画像をAIで解析し、老朽化したコンクリート建造物を点検する活用策もある。関連する企業や研究者でつくる日本UAS産業振興協議会は現在、世界で400万機、国内で10万機超が飛んでいると推定。「産業用の機体数は年30%ずつ伸びる」とみる。

 中でも政府が力を入れるのが、人手不足の深刻な運送分野での活用だ。「ドローンの活用は、車両の自動運転と並ぶ運送業界の人手不足解消の2本柱」と話すのは国土交通省幹部。九州は山間部や離島が多いことからニーズも高く、昨年11月には福岡市西区の玄界島と本土の間で運送実験を実施した。大分県も7日、宅配サービスの実証実験を佐伯市の山間地で開始。国交省は航空法の目視外飛行の規制を緩和し、長距離飛行を後押ししている。

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 一方、政府の安全対策は後手に回った。本格的な法規制は、15年4月に首相官邸屋上でドローンが発見された事件以後。航空法が改正されたり、小型無人機等飛行禁止法が制定されたりした。だが、原発上空の飛行禁止などテロ対策に主眼が置かれ、産業活用での安全対策は進まなかった。旅客機への接近や高速道路への落下、墜落後の炎上など「あわや大惨事」(政府関係者)の問題も起きている。

 規制は必要、だが過剰になれば活用の妨げになる-。二律背反の課題の中、政府は国交省や内閣府など関係省庁の連絡会議でルール作りの在り方を検討してきた。「機体数の割に事故件数はまだ多くない。でも、深刻な事故が起きるとドローンに対する国民の理解が得られなくなる」。国交省幹部は、航空法改正の必要性をこう説明している。

=2019/02/08付 西日本新聞朝刊=

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