弁護団「無罪です」30分で結審 松橋事件再審初公判

西日本新聞

 松橋(まつばせ)事件の発生から34年、無実を訴え続けた宮田浩喜さん(85)の再審初公判は8日、熊本地裁で即日結審した。宮田さんの体調を考慮し「早期に判決を出したい」と裁判所が意向を示していた通り、異例のスピード審理で、わずか30分で終了。弁護団や傍聴席で見守った宮田さんの次男賢浩(まさひろ)さん(60)は安堵(あんど)の表情を浮かべつつ、この日までの長い道のりに「もっと早ければ(宮田さんも)元気だった」と再審請求の難しさや検察への批判も口にした。

 「被告人は無罪です」。公判は被告人席が空席のまま始まり、検察官が読み上げた殺人罪の起訴内容を三角恒主任弁護士(65)が、淡々と否定した。宮田さんは再審を待つ間に脳梗塞や認知症を患い、現在は要介護5で会話もできない状態のため出廷しなかった。

 次男賢浩さんは、一昨年に病死した長兄の服を着て東京から傍聴に訪れた。再審請求人の1人でもあった長兄は、宮田さんに代わって取材に応じるなど傍らで支えたが、再審開始確定を前に61歳で病気で亡くなった。代わりに座った傍聴席。賢浩さんは膝の上で手を組み、時折、天井を仰ぎながら公判を見守った。

 「『裁判は不当です。私は無実です』と繰り返し述べていた言葉を忘れることができない」。獄中の宮田さんから再審を頼まれ、弁護団を率いてきた斉藤誠弁護士(73)。最後の弁論ではこの30年を振り返り、認知能力の低下で、言葉も話せなくなった宮田さんの心情を代弁した。

 冤罪(えんざい)を訴えながら約13年服役した。斉藤弁護士は「人生の後半生を全て奪われてしまったと言っても過言ではない」と強調。「家族も多大な影響を被った」と述べ、裁判長の方を向き「生きている宮田さんに『無実が認められましたよ』と伝えたい」と力強く締めくくった。

 予定では90分の時間が設けられていた審理は、30分で終わった。傍聴した宮崎市の伊地知真知子さんは「斉藤弁護士が語った宮田さんの三十数年の人生を考えると胸が詰まる思い」と話した。

 地裁には、59席の一般傍聴券を求め、支援者や警察官ら209人が並んだ。

地裁、早期決着を優先 自白調書や凶器調べず 松橋事件再審結審

松橋事件、無罪確定へ 再審初公判、殺人立証せず結審 熊本地裁

=2019/02/09付 西日本新聞朝刊=

PR

社会 アクセスランキング

PR

注目のテーマ