「馬人形」後世へ 福岡市の宇賀神社 クラウドファンディング、保存や魅力伝える費用に

西日本新聞 ふくおか都市圏版

馬人形を見上げながら「後世に残したい」と語る宇賀神社やクラウドファンディングの関係者 拡大

馬人形を見上げながら「後世に残したい」と語る宇賀神社やクラウドファンディングの関係者

大串・デザイン部次長が修復前の状態を記録した精密画の一部。出資者に複製を贈る予定

 福岡市中央区大宮の宇賀神社拝殿のはりに掲げられている「馬人形」を、後世に永く残したい-。そんな思いで修復作業に携わった研究者が、インターネットを通じて資金を募るクラウドファンディングを実施中だ。目標額は60万円。保存費用に充てるとともに、出資者に馬人形の精密画を贈ることも併せて計画。「地域の宝をより多くの人に見て知ってもらい、その価値を伝えていく手助けにしたい」と協力を呼び掛けている。

 馬人形は、体長約240センチ。木材と竹で作られた骨格に、わらや布で肉付けがされており、博多祇園山笠の飾り山と同じ手法で制作されていることが特徴。内側に貼られていた新聞紙の日付が1929年だったことから、90年ほど前に作られたとみられ、現存する飾り山としては最古級の文化財になるという。

 宇賀神社の関係者によると、その天を駆けるような躍動感とたけだけしさに加え、神社に飾られた経緯が謎というミステリアスな面も相まって、「お馬さん」と呼ばれて長年地域に親しまれてきた。2005年の福岡沖地震の際には神社が被災し、建物が傾いたり鳥居が壊れたりしたにもかかわらず馬人形は落下しなかったことから、「受か(宇賀)る」「落ちない馬」として受験生に評判を呼んだ逸話もある。

 その後、老朽化が目立ち落下する恐れも出てきたことから地域住民らが修復を発案、16年に博多人形師の手により新たな命を吹き込まれた。その際には、西日本新聞社の大串誠寿・デザイン部次長(54)が一研究者の立場から、馬人形の実測や損壊状態の記録、復元図の制作に取り組んだ。「一流の造形」にほれ込んだ大串氏が宇賀神社の関係者と話し合い、今回のクラウドファンディングにつながった。

 出資した人には、大串氏が半年ほどかけて鉛筆で描いた修復以前の精密画5種類の複製を贈り、馬人形の奥深い魅力を伝えていく。この複製の印刷には、福岡市城南区の印刷所「文林堂」の店主・山田善之さん(77)が匠(たくみ)の技で協力する。募集期間は、3月21日まで(詳細は、西日本新聞社のクラウドファンディングサイト『リンクスタート』へ)。

 福岡藩の6代藩主黒田継高が創建したとされ、「黒田稲荷」との異名もあるほど黒田家とのつながりが深い宇賀神社。12日午後には、黒田家16代当主の黒田長高さん(66)=東京都=が初めて訪れて馬人形の健在ぶりを確かめ、「地元を中心に守ってくれていることはありがたい」と語った。

=2019/02/13付 西日本新聞朝刊=

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