福祉施設が防災ネット 熊本地震で被災、御船町の施設長ら 災害時相互応援、職員研修も

西日本新聞

 2016年4月の熊本地震で被災した熊本県御船町の社会福祉施設の施設長らが民間団体「日本福祉防災楽会(がっかい)」を設立した。全国の福祉施設とネットワークをつくり、災害時の職員派遣や対応ノウハウの共有を進める。地震当時、物資や人手が足りない体験をした吉本洋施設長(47)は「施設単体でできることには限りがある。施設同士が平時からつながり、準備をしておけば心強い」と意気込む。

 施設は、老人総合福祉施設「グリーンヒルみふね」。熊本地震では、施設本館が半壊し、入所者は無事だったものの職員3人が負傷した。4月16日の本震後には、地元住民を含め最大200人が避難してきた。ただ、指定避難所ではないため物資が届かず、駐車場に「米・水・保存食 HELP」とスプレーで書いて助けを求めた。

 吉本さんは「行政も地震発生直後は混乱しており、自力で何とかしないといけなかったが難しかった」と振り返る。駐車場の文字が報道されると、フェイスブックを通じてボランティアが訪れ、物資も届くようになった。

 吉本さんは愛知県で地震体験を講演した際、同県のNPO法人「高齢者住まいる研究会」の寺西貞昭さん(52)らと出会い、お年寄りや障害者が暮らす施設が連携し、相互に助け合うネットワークが必要との考えで一致した。

 今年1月下旬に吉本さんと寺西さん、東京の施設関係者らが発起人となって、日本福祉防災楽会を立ち上げた。災害時にも前向きな気持ちを忘れないよう「楽会」としたという。

 楽会では職員の相互派遣のほか、防災研修も進める。「福祉施設は入所者のプライバシーに立ち入る。同じ施設職員なら安心して任せられる」と吉本さん。大規模被害を受けた場合、提携施設で入所者の受け入れも検討するという。

 19年度中には防災の専門家と協力してカリキュラムを作成し、楽会独自の資格「福祉施設防災管理士」の養成講座も始める計画だ。

 グリーンヒル単体では東京、長崎、大分、愛知の福祉施設やボランティア団体と災害時の相互応援協定を結び、平時の職員交流も進めている。楽会長に就任した吉本さんは「全都道府県に楽会の仲間を増やし、福祉施設の災害対応力向上につなげたい」と語る。

=2019/02/19付 西日本新聞朝刊=

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