「産官学金労言士」…

西日本新聞

 「産官学金労言士」。ご存じだろうか。地方創生に取り組む連携態勢を表す7文字。安倍晋三政権が打ち出したキャッチフレーズの一つだ。「産官学」はおなじみで、産業界、官公庁、大学の3者を指す。「金労言士」は金融機関、労働団体、言論界、弁護士などの士業を表し、これら7者が中核になるべしという号令だ

▼方向性は正しい。としても額面通りにはいかない。自治体の中には「住」「医」の文字を加えたり末尾に「等」を付けたり、取り組みに苦吟しているところも多い

▼広義で捉えれば大半の職種は7者に包含される。けれども、主役はあくまで住民であり、地方では医療への不安が大きいといった悩みもあるからだ

▼総務省の人口移動報告で、東京一極集中が加速している実態が明らかになった。それも地方創生が足踏みしていることの証左だろう

▼そもそも企業、大学、弁護士などは都市に集中し、過疎地は「産学士」との連携自体が難しい。職種で言えば「農」(農林水産業)の存在が大きいし、高齢者を支える「福」(福祉)も鍵を握る

▼きょうは、二十四節気の雨水。雪が徐々に雨へと変わり、春の足音が近づく頃とされる。来月には卒業、進学、就職で人口移動が始まる。地元に残る決意を固めた人々もいよう。地域の未来を見据え「若」(若者)や古里を愛する心を養う「育」(教育)といった文字も連携のキーワードに加えたい。

=2019/02/19付 西日本新聞朝刊=