統一選告示まで1カ月、前哨戦活発化 選挙“対策”事務所の案内、LINEで「よろしく」 違反になる?

西日本新聞

支援者に届いた「選挙対策事務所」と記された案内文書(写真の一部を加工しています) 拡大

支援者に届いた「選挙対策事務所」と記された案内文書(写真の一部を加工しています)

 統一地方選告示まで1カ月に迫った。日田市内をはじめ、立候補予定者の事務所開きや街頭演説など“前哨戦”が活発になっている。そうした動きが目立ち始めると「公職選挙法違反じゃないか」との情報が新聞社に届く。公選法は「選挙運動」ができるのは告示後で、それ以前の選挙運動を事前運動として禁じている。あの行動は、どうなの-。実際にあった事例で考える。

 公選法に基づけば、選挙運動は(1)特定の選挙を意識し(2)ある候補者を当選させるため(3)直接または間接に行う必要かつ有利な行為-とされる。こうした行為を告示前に行えば、事前運動とみなされる。一方で政治家などの主義主張を広く知らせる「政治活動」は選挙期間中には一部規制がかかるが、基本的に時期にかかわらず自由だ。このため、統一地方選に出ようとする候補者は事前運動とみなされないよう、政治活動の範囲内で選挙準備を進めなければならない。

 「これは公選法違反じゃないですか」。先日、西日本新聞社にこんな投書があった。県議選に立候補予定の現職の後援会から届いた事務所開きの案内文書に「選挙事務所」と表記されているという。

 文書を手に入れて、よく見ると「選挙対策事務所」とある。「これは許されるんでしょうか?」。県や市の選挙管理委員会に聞いてみた。答えはほぼ同じ「違法とまでは言いにくい。選挙の準備のための事務所でしょう」。実際、事務所開きは「後援会事務所開き」として行われた。

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 ピロン-。スマートフォンの無料通信アプリ「LINE(ライン)」に、複数の知人からメッセージが届く。「4月の市議選に××町の○○氏が立候補します」。「親族が市議選に出ます。よろしかったら、お願いします」。立候補予定者の画像が添付されているものもあった。

 直接的な文言はないが、事実上、投票を呼び掛けてはいないか。総務省の担当者は、取り締まりを担うのは警察だとした上で「事前運動に当たるかどうかは時期や場所、方法などその態様で総合的に判断することになる」。県選管は「特定の選挙を示して呼び掛けと推測されれば、事前運動に当たる恐れがある」と指摘した。

 日田市では昨年12月、県議選に立候補予定の県議を支援する自治会関係者が、市広報と一緒に県議の新年互礼会の案内チラシを配り問題になった。市選管などによると、同市の場合、自治会関係者は「公務員」ではなく公選法には抵触しない。ただ、市の委託で行う市報配布とチラシを一緒にすれば「市が応援する候補」と誤認させる可能性もある。問題を受け、市自治会連合会は誤解を招く行動は控えるよう各自治会へ注意喚起した。この影響を受けたのが市議選のある立候補予定者。「自治会長が地域のあいさつ周りに付き添ってくれなくなった」と困惑している。

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 選挙に詳しい鈴木桂樹・熊本大教授(政治学)は「どれも微妙な事例だ」と指摘。「違反ではないか」という声が有権者から上がることが重要で、予定者に緊張感を生み公平公正な選挙につながるという。

 鈴木教授は「そもそも政治活動と選挙運動の線引きは難しい。選挙が近くなって活動を活発にするから、事前運動との疑いの声も出る」として「議会や地域の活動に普段から力を入れていれば知名度は上がる。日々の延長に選挙があるという意識を持ってほしい」と求めた。

=2019/02/21付 西日本新聞朝刊=