石臼でこだわりコーヒー ワンコインで「ゴロゴロ、パチパチ」 石工の里に体験スポット 天草市下浦町

西日本新聞

 ゴロゴロ、パチパチと独特の音とともに、香ばしい香りが立ちのぼる。石臼でコーヒー豆をひき、好みの一杯を見つけて味わう体験スポットが昨年、天草市下浦町にオープンした。18世紀に石工文化が花開いた地とはいえ、石臼がコーヒーミル代わり? どんな一杯が味わえるのだろう。

 「珈琲(コーヒー)石臼体験所」は、コーヒー好きが高じて専用の石臼を開発し、製造販売する吉田伸一さん(57)のショールームを兼ねる。デザインの違う石臼が10台以上置かれ、コーヒー豆や抽出器具などもそろう。「石臼でひくと香りが良く、歯が鋭い電動ミルなどと違って角のない粉ができ、味わいも違います」。石臼使用料500円で、好みの味になるまで何回でも豆をひき、試飲できるという。

 石臼は高さ21センチ、直径24センチ。好みの豆を穴に数粒ずつ落としながら、反時計回りにゆっくりと動かす。「ひきの粗さは、回転スピードと投入する豆の量で決まります。音で聞き分けて」と吉田さん。

 20回転ほどでパチパチ音がなくなり、出来上がり。さっそくハンドドリップで入れてみる。湯の温度は85~90度、蒸らし時間30秒。ゆっくりと、少しずつ注ぐ。豊かな香りが、ふわっ。

 口に含むとまろやかで、少し甘みが残る。「酸味が甘みに変わるようです」と吉田さんが、石臼効果を語る。体験所では代表的な豆3種類ほどを使い、ひき具合や抽出方法での味の違いを試せる。

 コーヒー豆専用石臼は、地元の石材店で働いていた吉田さんが2007年ごろに考案した。石工の手仕事とみられる古い石臼の修理を手掛けたことから関心を持ち、「どうせなら好きなコーヒー豆をひく臼をつくろう」と独立し、工房を立ち上げたという。

 四角い石から手作業で削り出す。材質や重心の調整、穴の大きさなど試行錯誤を重ね、回転スピードや豆の投入量でひき具合をコントロールできる一台を完成させた。「珈琲石臼」と命名。1台5万円以上し、周囲からは「絶対売れない!」と笑われたが、インターネット上で販売するとコーヒー専門店や愛好者の間で評判となり、今では国内外から注文が入るという。

 工房に近い国道266号沿いには「下浦石工発祥之地」の石碑がある。1760年に肥前藩士が下浦石場に移り住み、村人に石工技法を伝えたのが始まりとされる。長崎市のオランダ坂の石畳や、世界文化遺産の三角西港埠頭(ふとう)なども下浦石工の仕事。最盛期は300人を数えたが、現在は30業者ほどになった。

 「コーヒーこだわり派向けに作った石臼だけど、石工文化を残すためにも広めたい」と吉田さん。体験所の窓の外には山や田んぼが広がる。石臼が奏でるゴロゴロ、パチパチの音に耳を傾ければ、のんびり時間が過ぎていく。珈琲石臼体験所=0969(24)4822。

=2019/02/24付 西日本新聞朝刊=

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