避妊を考える<下>女性が主体的に取り組める方法 シールや注射、海外は多彩な選択肢

西日本新聞

 前回(19日付)紹介した緊急避妊薬は避妊に失敗したときの事後の手段。子どもを望まないなら、日頃から確実な方法で妊娠を防ぐ必要がある。世界には女性自ら行えて失敗が少ない避妊法があるものの、国内ではコンドームと比べ浸透していない。専門家は「思いがけない妊娠で傷つかないために、男性任せの方法ではなく、他の選択肢も考えてほしい」と訴える。

 「コンドームが破れちゃって」「途中から着けたんですけど…」。福岡市中央区の野崎ウイメンズクリニックに緊急避妊薬を求めてやって来るのは、「全く避妊しなかった」という女性ばかりではない。半数ほどは「コンドームを使った」と説明する。コンドームは正しく使えば避妊に有効で、性感染症予防にも欠かせないが、初めから着けなかったり、傷が付いたりすると、失敗する可能性がある。

 院長の野崎雅裕さんは、男性頼みではなく、女性自ら取り組める避妊法を紹介している。毎日服用して排卵を抑制する「低用量ピル」や、子宮内に装着して着床を妨げる「子宮内システム(IUS)」だ。ただ、こうした避妊法が主流になっている国がある中で、日本では約8割がコンドームを選択しているとの調査結果がある。毎日服用する煩わしさや、体に器具を入れる抵抗感などが影響しているようだ。

 日本家族計画協会理事長で産婦人科医の北村邦夫さんは「戦後、政府が生活困窮者に無料提供するなど、全国的にコンドームの使用が推奨されたことがある。その結果、コンドーム製造会社がしのぎを削って品質改善に努め、普及していったと考えられる」と分析。また日本は低用量ピルの承認が国連加盟国の中で最も遅かったように、新たな薬剤が認められるまでに時間がかかる傾向もある。

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 現状を変えようと昨年5月、避妊や性の知識について普及啓発に取り組む「#なんでないの プロジェクト」が立ち上がった。発起人の国際基督教大4年の福田和子さん(23)は「ないものだらけの日本の避妊を変えたい」と勉強会やホームページで情報発信をしている。

 活動のきっかけはスウェーデンへの留学だ。受診した産婦人科で「あなたに合った方法を考えてみて」とさまざまな避妊法を紹介された。低用量ピルやIUSはもちろん、妊娠を防ぐホルモンが含まれたスティックを皮下に埋め込む「避妊インプラント」、腹部などに貼るシール状の「避妊パッチ」、膣(ちつ)内に挿入する避妊リング、避妊注射など、日本では承認されていない方法も現地では普及していた。

 スウェーデンに260カ所以上にある「ユースクリニック」では、専門家が若者の体と心の相談に無料で応じ、避妊具も提供されている。福田さんは「日本では性教育が不十分な上、性の悩みを気軽に相談できる場所が少ない。ライフスタイルに合わせて避妊法が選べるようになるべきだ。避妊や性について積極的に議論できる社会にしたい」と主張する。

 一方、コンドーム以外の避妊法では、クラミジアやエイズなどの性感染症は防げない。北村さんは、女性主体の避妊法とコンドームの「二重の防御」で妊娠も性感染症も防ぐ「デュアル・プロテクション」の重要性を説く。北村さんは「性感染症予防について正しい知識を持つことが大切」とした上で「妊娠しない男性に避妊法を依存することは、セックスをする上で対等な関係とは言えない」と話している。

 ●低用量ピルと子宮内システム 効果と副作用は?

 「低用量ピル」は1日1錠、毎日決まった時間に飲むことで、含まれている卵胞ホルモンと黄体ホルモンが脳下垂体に働きかけて、排卵を抑制する。費用は1カ月で2000~3000円程度。月経周期が規則正しくなり、月経痛を改善させる効果もある。個人差はあるが、不正出血や吐き気などの他、まれに血栓症などの副作用が出ることがある。

 出産経験者や長期の避妊を望む人に適しているのが「子宮内システム(IUS)」。産婦人科で黄体ホルモンを放出する小さな器具を子宮内に挿入してもらう。子宮内膜を薄くすることで着床を妨げる。費用は5万~8万円程度で約5年間避妊が可能。装着当初は出血が続くことがある。

 いずれも公的医療保険の適用外。服用をやめるか、子宮内から除去すれば妊娠が可能な状態になる。

=2019/02/26付 西日本新聞朝刊=

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