水俣の海に希少生物 「環境復元の象徴」 鹿児島大の佐藤教授が現状報告

西日本新聞

「水俣の海は恵まれていることを知ってもらいたい」と語る佐藤正典教授 拡大

「水俣の海は恵まれていることを知ってもらいたい」と語る佐藤正典教授

 水俣の海に希少な生物が戻ってきている-。海底の生態系に詳しい鹿児島大理学部の佐藤正典教授(底生生物学)が水俣市で講演し、水銀による甚大な汚染が起きた海の再生に言及。陸に近い浅瀬の重要性を強調し、「いくら整備しても海が死んだら元も子もない」。水産振興などを目的に市が水俣川河口臨海部で計画する埋め立て事業について、生物学者の立場から問題提起した。

 佐藤教授は約40年にわたり干潟やその周辺海域の生物を主な研究対象とし、有明海や不知火海の変遷にも詳しい。21日の講演では、水俣湾周辺での独自調査や、市が業者に委託して実施した2016、17年度の環境影響評価(アセスメント)の報告書を基に、分析結果を報告した。

 佐藤教授によると、報告書には、埋め立て予定地周辺でカタクチイワシやハゼ類の卵、稚魚が大量に見つかったことを示すデータがあり、「生物にとって良好な環境であることが読み取れる」という。研究者の間で「生きた化石」と言われ、希少性の高い腕足(わんそく)動物の一種も確認されており、佐藤教授は「水俣の環境復元を象徴するような生き物が帰ってきた」と表現した。

 国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)を巡る有明海の異変調査にも携わってきた佐藤教授は「こうした(生物が暮らしやすい)環境は限られており、生き残っている生物にとっては最後のとりでかもしれない。恵まれた環境を壊してでも必要な埋め立てなのか。環境モデル都市を掲げる水俣にとっては、大事な問題ではないか」と訴えた。

 講演会は、水俣病の患者団体などでつくる「水俣病被害者・支援者連絡会」が埋め立て事業を考える目的で開いた。

=2019/02/27付 西日本新聞朝刊=