米朝会談歓迎のベトナムに思惑 南シナ海で対立の中国けん制 両首脳ハノイ入り

西日本新聞

米国と北朝鮮の国旗をモチーフにした記念Tシャツを急きょ販売したハノイの衣料品店=26日 拡大

米国と北朝鮮の国旗をモチーフにした記念Tシャツを急きょ販売したハノイの衣料品店=26日

 【ハノイ川原田健雄、田中伸幸】米朝首脳再会談を控えたベトナム・ハノイでは26日、米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が相次いで現地に入り、多くの市民が沿道で米朝やベトナムの旗を振るなど歓迎ムードを高めた。ベトナムにとって再会談の舞台を提供することは存在感を示す絶好の機会。米朝双方との信頼関係を誇示し、南シナ海問題で対立する中国をけん制する思惑もにじむ。

 正恩氏を乗せた車は北朝鮮国旗をなびかせて交通規制が敷かれたハノイ中心部に入った。通行止めで大渋滞が発生し、歩道を走るバイクが相次いだが、正恩氏の車が通過すると沿道から歓声が上がった。車列は午前11時(日本時間午後1時)ごろ、宿泊先のホテル「メリア・ハノイ」に到着。地元メディアによると正恩氏は「ベトナムの友人に感謝する」と話したという。周辺は軍関係者や装甲車が配備され、立ち入りが規制されたが、北朝鮮の最高指導者を一目見ようと多くの市民が訪れた。

 メリア・ハノイ近くの衣料品店は、米朝の国旗と両首脳のシルエットをデザインしたTシャツを1枚約700円で販売。「3日前に作ったばかり」(男性店員)でここ数日、肌寒い気温が続いたが、売れ行きは好調という。2人の名前を冠したハンバーガーやカクテルを提供する飲食店も登場。プレスセンター近くの飲食店で働く女性は「歴史的な会談をみんな歓迎している」と笑顔を見せた。

 社会主義体制を堅持するベトナムは、旧ソ連圏や近隣諸国だけでなく、ベトナム戦争で戦火を交えた米国にも接近。安全保障や経済の結びつきを強めている。

 視線の先にあるのは、南シナ海の領有権を争う中国だ。台頭する中国を抑止したい米国とは利害が一致する。中国は北朝鮮が将来ベトナムと同じように米国と親密になることを警戒している。ベトナムは再会談を通して北朝鮮との関係も強化し、中国を揺さぶる駆け引き材料としたい構えだ。

=2019/02/27付 西日本新聞朝刊=

PR

PR

注目のテーマ