“70歳の女子高校生”が卒業 看護師と両立、級友から恋愛相談も

 久留米市上津町の看護師熊谷美重子さん(70)が1日、明善高定時制を卒業した。家計を支えようと中学卒業後に働き始めたが、年齢を重ねても向学心が衰えることはなく4年間、勉学に励んできた。同高定時制80年の歴史で古希の卒業生は最高齢。熊谷さんは「学ぶことに年齢は関係ありません。ほぼ半世紀遅れの高校生活は何事にも代え難い人生の思い出です」と卒業証書を手に目を潤ませた。

 熊谷さんは筑後市で生まれ育った。7人きょうだいの末っ子。家庭は貧しく、進学を断念。久留米市内の病院で看護助手として働きながら専門学校に通い、看護師資格を取得した。

 24歳で結婚。和菓子店だった夫の家業を手伝ったり、夫婦で小料理店を切り盛りしたりと「2人の子育てにも追われて大変だったけど、毎日が充実していました」。ところが2001年、交通事故で夫と死別。1年ほどは途方に暮れたが「悲しんでばかりでいられない」。再び病院や介護施設で仕事に打ち込んだ。

 「やっぱり高校の授業が受けたい」。還暦を過ぎたころ、ぼんやりと思うようになった。「残りの人生、自分自身のために使い切りたい」。作文と面接の試験を突破し、念願の“女子高校生”に。「人生経験と高校で学びたいという熱い思いを伝えました」

 入学後、週3、4回の介護施設の仕事と勉強を両立し、孫世代の級友からは「みえこちゃん」と慕われた。進路や恋愛について相談されることもあったという。担任の大庭聖嗣教諭(36)も「気持ちの若さ、勉強に向き合う姿勢…。私たちも多くを教わりました」と感謝する。

 式で、熊谷さんは定時制の17人を代表して答辞を読んだ。「それぞれの進路へと旅立っていきます」。熊谷さんは卒業後も仕事を続けながら、社会福祉士の資格を取るため短大進学を目指すという。「高校の教科書は宝物。もっと目を通して勉強しないと」。向学心が尽きることはない。

=2019/03/02付 西日本新聞朝刊=

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