外国人の看護師再挑戦 後押し 志願者の国に講師派遣 日本語もみっちり 福岡県医師会 2年で9人、約3割合格

西日本新聞 医療面

 将来的な看護師不足が見込まれる中、福岡県医師会の外国人看護師候補者への支援事業が実績を上げている。経済連携協定(EPA)に基づく看護師候補として来日したものの、国家試験に合格できずに帰国した人たちの再挑戦を、インドネシアやフィリピンに講師を派遣してサポート。2年で9人の看護師を県内の医療機関に送り出した。

 「私も演歌が好きですよ。石川さゆりが大好き」。80代の女性患者に人懐っこい笑顔で話し掛ける。インドネシア人看護師のルディ・ファフルロジさん(40)は、北九州市戸畑区の戸畑共立病院(218床)の外科病棟で働いている。患者とのコミュニケーションや業務連絡など全て日本語でこなす。

 母国で看護師となり、ジャカルタの病院で働いた。2009年1月、EPAの枠組みで来日。熊本県の病院で働きながら国家試験に3回挑戦したが、不合格となり、12年に帰国した。母国で看護師を続けていたが「やはり日本で働きたい」と、16年10月から福岡県医師会の学習支援に参加した。

 福岡から派遣された看護師で大学教員経験もある石田佳奈子さん(38)から4カ月の集中講義で、日本語と試験対策をたたき込まれた。17年2月に看護師と准看護師の試験を受験し、准看護師に合格した。

 その年の6月から戸畑共立病院で働きつつ、週末は医師会の学習支援を受けた。18年3月、5回目の挑戦で念願の看護師に合格できた。仕事の合間に同僚に教えてもらった熊本時代に比べ「教員経験がある人に教えてもらうと、すごく分かりやすかった」と言う。

 現在、がん患者などを担当し、夜勤もこなす。「目標は責任感を持って笑顔で優しく、患者の苦痛や不安を緩和できる看護師。ずっと日本で働きたい」。病棟の田辺貴子師長(51)は「まだ日本語の指示が正確に伝わらないこともあるが、明るい笑顔と丁寧なケアは見習いたい」と評価する。

 こうした支援は全国でも珍しい。14年度に北九州市小倉医師会がインドネシアで始めた事業を、16年度から県医師会が引き継いだ。昨年度にはフィリピンでもスタート。事業費は年間約2500万円で、県が約1900万円を補助。合格後は県内で働くことが条件だ。

 この2年で計36人を支援し、インドネシア8人、フィリピン1人が看護師に合格。18年の合格率は38・9%と、EPAの17・7%を大きく上回る。現在、大牟田市など八つの医療機関で働いている。

 今月18日、県医師会はインドネシア保健省と協力関係を結んだ。候補者が帰国してしまうと所在や連絡先が分からないため、事業の周知が課題となっていたが、今後は現地政府が帰国者への周知に協力する。

 県医師会の松田峻一良会長は「EPAで来日した人たちは熱い思いと覚悟を持っている。県内で安心できる医療提供体制を支えてほしい」。今後、合格者を倍増させ、事業を拡充したいとする。同省保健人材開発・活用庁のウスマン・スマントリ長官も「日本で働く人材が増えれば日本の医療介護にも役立つとともに、帰国後の人材活用につながる」と期待している。

=2019/02/25付 西日本新聞朝刊=

PR

医療・健康 アクセスランキング

PR

注目のテーマ