【検証 佐世保・朝長市政】(上)雇用創出・ブランド戦略・商店街振興

西日本新聞

 佐世保市の朝長則男市長(70)は4月下旬に3期目の任期を終える。「進化する市政」を掲げた4年間の政策展開で、何が前進し、何が課題となっているか。4年前の市長選の主要公約を基に検証する。

誘致企業増えるも、新卒流出は変わらず

<企業立地や創業支援による雇用機会を創出する>

 経済分野の公約で、真っ先に挙げていたのは企業立地。3期目(2015~18年度)は6社の新設、6社の増設に成功した。1期目(新設4社、増設5社)、2期目(新設3社、増設7社)の実績を上回る。企業と直接交渉するトップセールスを重ねたという。

 14年に分譲を始めた小佐々町の工業団地「ウエストテクノ佐世保」(約2万平方メートル)は18年に完売し、自動車関連メーカーが立地する。市は新設企業に対し、6億円を上限に分譲価格の3分の1を補助し、固定資産税を3年間免除するなどの優遇措置を取った。

 15~18年度の誘致企業の雇用計画数は1207人。18年度に取引企業の人事や経理業務を代行する企業が中心市街に進出するなど、雇用機会は着実に増えている。

 企業誘致による雇用の場づくりは人口減少に歯止めをかける狙いもあるが、新卒の若者が市外に流出する割合は依然として高い。

 ハローワーク佐世保によると、今年春に佐世保市の高校を卒業した543人の就職先は県外が54・3%。この数年は50%前後で推移している。市内就職は35・4%で、最近5年間で最も低かった。

 県労働局は、景気回復により、待遇面で勝る大都市の企業の採用が活発になった影響とみている。若い人材を他都市に吸い取られる傾向は変わらない。

ブランド化…養殖トラフグの販売好調

<特産品の「プレミアムブランド化」を推進する>

 養殖量が全国有数のトラフグの知名度を上げるため、2012年度から「九十九島とらふぐ」のブランド戦略をスタート。12年度に120キロだった販売量は、17年度に10倍を超える2千キロに伸びた。

 九十九島とらふぐは早摘みのミカンを混ぜた飼料で育て、身の透明度が高く、臭みが少ないのが特徴。九十九島漁協が国内の有名ホテルに販路を広げ、刺し身などに加工し、直送している。市は大型冷蔵庫の購入費の3分の1を補助するなど、生産と販売の拡大を後押ししてきた。

 関係者によると、懸案は安価な中国産との価格競争による利益率の低下。認知度も途上段階で、地元水産物の中でもアジやサバに比べると高いとは言えない。

 市は西海みかんのブランド化にも力を入れる。主に針尾地区で生産される糖度14の県の高級ブランド「出島の華」や「味っ子」「味まる」などを関東や東北に出荷。甘みを出すための栽培機具に補助金を出し、農家をサポートしてきた。

 「出島の華」を含む市内産かんきつ類の1キロ当たりの販売価格は、07年の219円から17年は348円に伸びた。ただし、西海みかんは生産可能な農地が限られるため、生産量の拡大は難しいという。

商店街…クルーズ客の吸収に課題

<市民生活の拠点、交流拠点である商店街を推進する>

 四ケ町商店街から三ケ町商店街まで約1キロの長さを誇るアーケード街「さるくシティ4○3」。中心部にあり、多彩なイベント会場となる「佐世保の顔」だ。にぎわいの指標として通行量をみると、近年はほぼ横ばいの傾向にある。

 佐世保商工会議所が毎年8月に行っているアーケード街の通行量調査(午前10時~午後5時、5カ所)によると、2018年は休日4万3531人(前年比4人減)、平日3万7353人(1253人減)。ピーク時の1992年(休日11万8338人、平日9万6931人)と比べると、落ち込みは否めない。

 市や商店街が力を入れているのは、クルーズ船で佐世保を訪れる外国人観光客の取り込みだ。市はアーケード街に程近い佐世保港三浦岸壁を整備。16万トン級の大型船の接岸が可能になり、昨年のクルーズ船寄港数は過去最高の108回を記録した。

 市は昨年7月、約2500万円をかけて、アーケード街に隣接する松浦公園の一部約1500平方メートルに大型観光バス専用駐車場を造った。クルーズ船客狙いだが、今年1月までの利用は67回、月に十数回程度だった。

 中国人客は大村市の免税品店などに流れており、佐世保市中心部の集客力は弱い。駐車場はがら空きの印象を市民に与えている。

=2019/03/11付 西日本新聞朝刊=

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