免田さん資料継ぐ 再審請求中「死刑停止」…国の解釈示す文書も 再審無罪の記録寄贈

西日本新聞

 1983年に日本の死刑囚で初めて再審無罪となった「免田事件」の免田栄さん(93)=福岡県大牟田市=が、自身の再審や死刑に関する資料を熊本大文書館(熊本市)に寄贈した。再審請求中における死刑執行の国の解釈を示す文書も含まれ、同館は「再審制度を考える上で非常に貴重な資料」としている。2019年度中に目録にまとめ、一般に公開する予定。

 資料は再審請求や公判に関する記録、死刑に関する国の文書などで段ボール箱約20個分。高齢になった免田さん側から散逸を防ぎ広く活用してほしいと文書館に託され、2月末までに寄贈の手続きを終えた。

 文書館によると、注目されるのは、福岡刑務所に収監された直後、免田さんに国から届いた「再審請求中により死刑の執行はされない」という趣旨の文書。近年「再審請求は、執行を停止する理由には当たらない」とするのが国の見解で、昨年も大阪の1億円強盗殺人やオウム真理教事件で再審請求中の死刑囚の刑が執行された。刑事訴訟法には明確な規定がないことから、熊大の岡田行雄教授(刑法学)は「法務省が当時、今とは異なる法解釈をしていたことが分かる重要書類」とみている。

 免田さんの父親宛てに届いた死刑執行時の遺体引き取りに関する文書も残っているという。このほか、収監された福岡刑務所で取り組んだ点訳奉仕の資料や、当時、慰めに作っていたという押し花なども寄贈された。

 免田さんと玉枝さん(82)夫妻は「冤罪(えんざい)は今も起きている。残した記録が、今後の司法に何かしら役に立てばと思う」と話した。

 免田さんは1949年1月、熊本県人吉市で祈祷(きとう)師一家4人を死傷させたとして逮捕され、取り調べで暴行や拷問を受けて自白を強要された。公判3回目で否認に転じたが、52年に死刑が確定。獄中から6度の再審請求を行い、アリバイが認められ、逮捕から34年半後の83年7月に再審無罪となった。

=2019/03/13付 西日本新聞朝刊=

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