県庁、夕方に外国人続々 SNSで評判 人気のワケは?

西日本新聞

展望ホールの窓ガラスに映し出されるプロジェクションマッピングを見学する外国人観光客 拡大

展望ホールの窓ガラスに映し出されるプロジェクションマッピングを見学する外国人観光客

窓ガラスを触ると佐賀の名所などが映像として現れる 夕方、県庁前に貸し切りバスで到着して展望ホールに向かう外国人観光客 鉛筆画と光で表現された佐賀の光景

 増え続ける訪日外国人観光客(インバウンド)。県内でもガイドブック片手に観光を楽しむ姿をよく目にする。訪問先の代表格として鹿島市の祐徳稲荷神社などが知られるが、最近はなぜか夕方に県庁を訪れる客が多いという。「Youは何しに県庁に?」-。

 「ここには、どうやって行けばいいのか」。夕方、私が県庁近くを歩いているとアジア系の男性外国人に呼び止められることが最近続いた。行き先は県庁の最上階の展望ホールという。身ぶりで直通エレベーターを教えると笑顔で去った。

 彼らの目的は、ホールの内側から地上50メートルの夜の窓ガラスに鮮やかな光と映像を投影するプロジェクションマッピングの見学だ。県が夜の観光資源を増やそうと2016年7月に始めた。3年目の今回は武雄温泉楼門(武雄市)や九年庵(神埼市)など県内の伝統ある建造物が、過去から未来にタイムトラベルするという物語になっている。

 県は当初、日本人客に夜の飲食店に繰り出してもらう狙いだった。しかし、個人客はもちろん、日によっては数十人の外国人団体客が乗ったバスが県庁前に到着して見学に訪れる。展望ホールで案内係を務める平野利佳さん(48)は「昨年あたりから明らかに増えた」と驚く。

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 県によると、この2年半余りの展望ホールの全来場者数は約14万人。外国人数はカウントしてないが、一昨年まで全体の1割に満たなかった来場者アンケートの回答者に占める外国人の割合が、昨年は3割に急増した。近年、佐賀空港と韓国、台湾を結ぶ直行便が増えたり、定期化したりしたのが大きな要因のようだ。

 旅行会社によっては、武雄市の御船山や伊万里市の梅園、鳥栖市の鳥栖プレミアム・アウトレットなど県内ばかりのツアーを組む。台湾から観光客30人を連れて展望ホールを訪れた添乗員男性(38)は「県内だけだと巡回先が少なくて限られる。プロジェクションマッピングは美しく、ツアーを組むのはぴったり」。

 ツアー客の1人、姜伶枝さん(48)は窓から見る佐賀の夜景が気に入ったという。「台湾の街中にある超高層ビルとは景色が全然違う。佐賀の街や夜景はにぎやかではないが、都会と違ってリラックスできる」

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 展望ホールのプロジェクションマッピングの上映時間は約10分。およそ15分おきに繰り返し流される。見学無料で撮影も自由にできるため、会員制交流サイト(SNS)で評判が広まっている。

 先の添乗員男性は「旅行関係者は行ったことがない場所には客を連れて行きたい。インターネットでいろいろ探したらここを見つけた」と話す。韓国・ソウルから妻子3人と訪れたシン・ユーソブさん(50)は、空港到着後にすぐ見学できるものをネットで調べて知ったという。「飛行機が着くのは夕方。タイミングが良い」と笑顔を見せた。

 外国人が絶えないことについて、旅行で訪れた東京都の大学生、岩屋光さん(21)は「プロジェクションマッピングの映像内容が、地元の歴史と結びついたストーリーであることが見ているだけで分かる。言葉の説明がなくても理解できるので外国人客が多いのではないか」と語った。

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 県庁展望ロビーは平日は午前8時半、土日祝日は午前9時半に開場。プロジェクションマッピングの上映は午後6時半~同10時。日没が遅くなる4月以降は午後8時~同10時。現在上映している「夜空のタイムトラベル」のほか、窓に触ると佐賀の名所などがランダムに現れる映像、太良町の海中鳥居や唐津くんちの光景を鉛筆画と光で表現した「佐賀の光景」なども展示している。

=2019/03/14付 西日本新聞朝刊=