僕は目で音を聴く(40)レッテルを貼っていませんか

 「A店で大金を盗んだとして窃盗の疑いで、B容疑者が逮捕された」というニュースが流れたとします。きっと「そんなことがあったんだ」「A店は大変だったなあ」「捕まって良かったなあ」ぐらいの感想を持つのが普通の反応だと思います。

 でも「聴覚障害のあるB容疑者が」というニュースだったらどうでしょうか。「聞こえない人がそんなことをやったんだ」「だから障害者は…」など、障害があることがことさら気になって、考えてしまいませんか?

 なぜ障害が強調されてしまうのか。こうしたレッテル貼りは、どんな場面であっても、当事者としては悲しいものです。

 前に勤めていた会社でも、私個人がどうか、ではなく、過去に働いていた聴覚障害者と比べられてしまうことがありました。「前の(障害のあった)人はそれ(ある仕事)をできていたが、あなたはできないの?」と言われたことがあり、ショックでした。我慢がならず、「その人はその人。私は私として見てほしい」と訴え、謝ってもらいました。

 ほかにも、たまたま一緒の部署にいた大卒の聴覚障害者と学歴を比べられたり、たまたま私ができなかった仕事に絡んで上司から「これからはろう者を雇わないよ」と平気で言われたり…。最悪だったのは、実際に聴覚障害者がある問題を起こした際、その後に聴覚障害者の雇用を断ったり、本当は正社員として募集するのを契約社員に変更したりする会社もありました。今は障害者雇用の在り方がクローズアップされているので、そんなことはなくなったと信じたいところです。

 障害があってもなくても、一人一人個性があって、得意分野も能力も異なるのは当然です。そういう視点で考えれば、障害者だから、という理由で雇用の機会が簡単に奪われることはないのではないでしょうか。何かとレッテルを貼ってしまいがちな癖をなくすことが、多様な人たちの社会参加や可能性を広げる一歩になると思います。

 (サラリーマン兼漫画家、福岡県久留米市)

 ◆プロフィール 本名瀧本大介、ペンネームが平本龍之介。1980年東京都生まれ。2008年から福岡県久留米市在住。漫画はブログ=https://note.mu/hao2002a/=でも公開中。
 

※平本龍之介さんによる漫画「ひらもとの人生道」第1巻(デザインエッグ社発行)が好評発売中!

 

=2019/03/07付 西日本新聞朝刊=

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