【福岡県政点検】(3)福祉 「働き方改革」導入に壁

西日本新聞

 150キロのバーベル、ランニングマシン…。平日の夕方、本格的なトレーニングジムに現れた人たちが熱心に汗を流していた。

 化粧品や健康食品の卸売、小売を手掛ける「ヴェントゥーノ」が福利厚生の一環として、13年前に福岡市中央区の本社ビル内で始めた試みだ。昼休みや終業後、約110人の社員は自由に利用できる。「手軽に運動できるのがいい」と好評だという。

 同社は、こうした取り組みにより、社員の健康づくりを行うと「宣言」した企業の一つ。県が昨年9月に始めた「ふくおか健康づくり団体・事業所宣言」に登録している。

 施策の狙いは、県民が健康で暮らせる期間を伸ばすこと。2016年の調査によると、平均寿命との差は男性9・23年、女性12・66年だった。「全国平均より低い健康寿命を改善していきたい」と県健康増進課の担当者。宣言への登録数は半年足らずで4千件以上に伸びた。各企業が特定健診の受診率向上や食生活の改善に取り組み、社員の健康増進に知恵を絞る。

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 がん検診の推進事業所、子育てや介護の応援宣言、禁煙宣言施設の応援事業…。事業所や店に登録を求める県のキャンペーンは30近くに上り、県民の機運を盛り上げるのに一役買っている。

 ただ、健康づくりのため、定期的な運動やバランスの取れた食生活を実行しようとすれば、長時間労働の是正など「働き方改革」が避けて通れない。

 県は昨年9月、働き方改革の専用のウェブサイトを立ち上げた。改革の進め方などを解説し、社会福祉法人なども含め20の企業や法人の実践例を紹介する。

 だが、改革キャンペーンへの参加企業・団体は40件と伸び悩む。県独自の政策としてアドバイザー派遣を始め、昨年5月から今年2月までに46社を訪れたが、その中でキャンペーンに参加したのはごくわずか。「実践方法に関する相談はあっても、なかなか導入には至らないところが多い」。県担当者は明かす。

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 9日、春日市のクローバープラザは採用担当者の熱気が充満していた。

 福祉業界にとっては九州最大の就職面接会となる「福祉のしごと就職フェア」。アリーナから研修室までに設けられた面接ブースは170。総求人数が2600人を超えるほど、業界の人手不足は著しい。

 「若手が活躍できる」「社員旅行があります」。スタッフたちはチラシを配布し、看板を持って特色をアピール。一人でも多く確保しようと懸命だった。

 働き方改革を進めるほど人を集めやすく定着しやすいという理屈は分かるが、県内の高齢者施設の担当者は「ただでさえ人手不足なんだから…」。少しでも人手が確保できるよう職員の賃金増につながる動きを県に期待する。

=2019/03/14付 西日本新聞朝刊=

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