「アポ電」福岡で急増 2月216件、前月の3倍に 県警、凶悪化を警戒

西日本新聞

 偽電話詐欺グループなどが被害者の個人情報を調べる目的で事前にかける「アポ電(アポイントメント電話)」が今年に入り、福岡県で急増している。同県警によると2月末現在286件で、昨年同期比で63件(28%)増えた。東京ではアポ電後に押し入った男らに高齢女性が殺害される凶悪事件が発生し、男3人が逮捕された。県警は「怪しい電話は絶対に応対しないで」と呼び掛けている。

 「明日の昼、そっちに行く」。2月下旬、同県大野城市の女性(81)宅に息子を名乗る男から電話がかかってきた。翌日も電話で「投資信託をした。金が必要だ」と言われ、指示された場所に現れた代理の男に現金150万円を渡した。

 その日のうちに本物の息子に確認して被害に遭ったと分かった。「息子と声が似ていたから疑わなかった」。女性はこう振り返る。

 県警によると、県内で昨年確認されたアポ電は1726件。今年は1月の70件(昨年同期比30件減)から、2月には216件(同93件増)に増加。家族や警察官を装い資産などを確認する手口で、オレオレ詐欺グループによるものが1~2月に起きた計286件のうち77%を占めたという。

 東京では、アポ電が強盗事件の“予兆”になるケースが相次ぐ。1月以降、息子を装うアポ電があった高齢者宅に3人組が侵入する強盗事件が2件発生。冒頭の事件では、事前に現金の保管状況を聞く電話があり、室内は物色されていた。

 県警によると、県内で同様の「アポ電強盗」は発生していないとみられるが、幹部は「犯罪が“効率化”している面があり、一般化すると恐ろしい」と警戒する。

 警察が防止策に勧めているのは、迷惑電話防止機能付き電話機の設置だ。警察などが把握する迷惑電話の番号は着信拒否となるほか犯人グループの通話内容を録音することもできる。

 自治体も対策に動いている。福岡市は2017年度から高齢者に自動通話録音機を無料で貸し出し、現在約120世帯が利用。うち9割が「迷惑電話が減った」と好評という。同県久留米市も16年度から計100台を無償貸与している。

 県警は、防犯情報を配信する「ふっけい安心メール」で、アポ電がかかった地域や手口の情報を発信。中村健一安全安心まちづくり推進室長は「県内でも模倣犯が強盗に悪用する可能性はある。不審な電話を受けたら警察や家族に相談してほしい」と語った。

=2019/03/15付 西日本新聞朝刊=