非公表の警察試験問題流出 警察庁基準に抵触例も 警官執筆料問題

西日本新聞

ファクスで送信された昇任試験問題には「10:49クマモトケンケイ」と印字されていた(写真の一部を加工しています) 拡大

ファクスで送信された昇任試験問題には「10:49クマモトケンケイ」と印字されていた(写真の一部を加工しています)

 警察の内部文書が、昇任試験対策問題集を出版する「EDU-COM」(東京)に流出していた問題で、文書の中には外部に公表していない過去の試験問題や試験内容に関するメモが含まれていたことが分かった。少なくとも16道府県警分を確認した。警察庁が情報公開審査基準で非開示とする内容も含まれていた。

 西日本新聞は同社関係者から文書を入手し、16道府県警に対し、過去に同社を含めた出版社に試験問題を提供したかどうか文書で質問した。14警察が「提供していない」とし、福岡県警は「2015年まで提供していた」と答えた。愛知県警は回答を拒否した。

 しかし、文書の中には、16道府県警で1996~16年にあった試験問題の用紙や試験内容を書き写したメモが2千点以上あった。関係者は「ほとんどの警察が試験問題を公表していないので、執筆者の警察官や顧問のOBを通じて入手していた」と証言する。

 北海道、群馬、神奈川、大阪、奈良、熊本の6道府県警の試験問題はファクスで送信され、警察本部や警察署、出向先の役所の名称が印字されていた。送信日時から勤務時間中に送ったとみられる。

 試験問題は各警察が作成し、択一式のSA(ショートアンサー)と論文を併用するケースが多い。SAについては警察庁が「(将来の)問題作成作業に支障が生じるため不開示」との基準を設けている。各警察もこれに準じているが、大阪、神奈川、兵庫の3府県警ではSAも流出していた。

 神奈川は10~12年の巡査部長、警部補、警部の各試験で出題された全50問と解答。兵庫は14年の警部試験、大阪は11年の巡査部長試験のそれぞれ50問が見つかった。このほか、新潟、群馬、奈良を除く13警察のSA試験の概要に関するメモも多数あった。

 一方、福岡県警は15年まで論文の試験問題を出版社側に提供したと説明したが、流出した問題用紙の中には、担当課が提供していなかった警備分野の設問も含まれていた。用紙には当時の刑事総務課幹部の名前があり、県警に無断で提供した可能性がある。

 同社は毎年、試験の過去問題集(論文のみ)を発行している。同社のリストによると、15道府県警の50人と3団体が過去問題の模範解答を執筆し、計約1436万円を受け取っていた。

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■便宜供与、まさに癒着

 真山達志・同志社大教授(行政学)の話 原則非公表としている昇任試験の過去問題を出版社の営利活動のために提供することは、特定の業者への便宜供与に当たり問題だ。事実上、過去問題が金銭に代わっており癒着と言わざるを得ない。問題集の執筆を黙認しているから、このような利権が生じている。不特定多数が受験する司法試験などと違い、警察の昇任試験は内部のものであり、非公表とすること自体に問題はない。ただ、非公表とするからには、警察内部で試験対策問題集や過去問集を作るべきだ。

=2019/03/16付 西日本新聞朝刊=

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