「朝鮮学校」判決 置き去りにされる生徒ら

西日本新聞

 朝鮮学校が高校授業料無償化の対象から除外されたのは違法として、国に損害賠償を求めた九州朝鮮中高級学校(北九州市八幡西区)の卒業生らの訴えが退けられた。

 全国の同種訴訟4件とほぼ同じ判断を、福岡地裁小倉支部が下した。朝鮮学校は北朝鮮系の在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の影響下にあると認めた。

 教育基本法は、特定の勢力が教育を不当に支配することを禁じている。朝鮮総連はホームページに「ウリハッキョ(私たちの学校)」として全国の朝鮮学校を紹介するなど、自ら関係性を明らかにしている。校舎内には、北朝鮮の金日成(キムイルソン)主席と金正日(キムジョンイル)総書記の肖像画が掲げられている。個人崇拝により独裁国家を築いた指導者親子だ。

 朝鮮学校は学校教育法の「各種学校」に位置付けられる私立学校だ。生徒の授業料を無償化するのと同等の就学支援金が公金として投入されることの是非が、まさに裁判で問われた。

 支援金は学校に一括支給される。判決は「授業料に充てられる十分な確証が得られない」と疑念を呈した。学校側が今後、独立性と透明性を明らかにしていかない限り、国民の理解は容易には得られないだろう。

 その上で留意すべきは、そこで学ぶのだから生徒は北朝鮮を支持し、特定の思想に染まっている-とは必ずしも言えないことだ。訴状によれば、同高の生徒は朝鮮籍と韓国籍がほぼ同数で、日本籍もいる。とりわけ気をつけたいのは、朝鮮籍は北朝鮮籍と同義ではない点である。

 外国人登録令が出された1947年当時、北朝鮮も韓国もまだ存在せず、朝鮮半島出身者の国籍欄は全て「朝鮮」だった。その翌年に韓国が建国され、希望者は「韓国」への書き換えを始めた。法務省によると「朝鮮」は地域を指す。もとより在日コリアンの大半は半島南部の出身者だ。祖国統一を願い「朝鮮」のままにしている人もいる。

 そんな彼らが朝鮮学校で朝鮮語や一般教科を学んでいるのは、韓国系の学校が少ないためだ。朝鮮学校は戦後すぐ「国語講習所」としてスタートした。今は全国に約60校がある。

 一連の訴訟では、結果として、そうした学びの主体である生徒らが置き去りにされている。原告弁護団の「青春時代に民族も国境も関係ない」という主張はその通りである。

 大きな視点で理解する必要があろう。既に在日コリアンは4~5世の時代を迎え、一人一人が自分の目で日本と朝鮮半島を見つめている。今後も日本社会を支えていく人たちだ。ありのままの姿と意識の変化を知り共生する社会を目指したい。

=2019/03/16付 西日本新聞朝刊=