震災、息子の記憶を桜に託す 南阿蘇、大和さんの両親 享年に合わせ22本植樹

西日本新聞

熊本地震で亡くなった大和晃さんを思い、桜の苗木22本を植樹した(右から)父卓也さん、母忍さん、伯父の本郷征美さん 拡大

熊本地震で亡くなった大和晃さんを思い、桜の苗木22本を植樹した(右から)父卓也さん、母忍さん、伯父の本郷征美さん

大和晃さん。大学生だった22歳の時に亡くなった

 熊本地震で車ごと土砂にのまれ犠牲になった熊本県阿蘇市の大学生大和晃(ひかる)さん=当時(22)=の両親らが月命日の16日、晃さんが亡くなった同県南阿蘇村立野地区の高台に、桜の苗木22本を植樹した。地震があった4月中旬に咲く品種を選び、晃さんが生きた年の数だけ植えた。父卓也さん(60)と母忍さん(51)は「2、3年後に咲く桜の花を見て、息子のことや地震の記憶を語り継いでいってもらいたい」と話した。

 植樹されたのは忍さんの実家の裏手にある棚田。農地を守ってきた忍さんの両親や兄の本郷征美さん(54)一家は被災し、今は村外の仮設住宅などで暮らす。震災から3年の節目を前に、晃さんを思い、傷ついた裏山や農地の再生を願い、家族で苗木を植えた。

 晃さんは、2016年4月16日未明の本震で、阿蘇大橋付近で土砂にのまれ、4カ月後に黒川の川岸から遺体で見つかった。熊本地震で最後に発見された行方不明者だった。

 現場付近では、20年度の完成を目指し、新阿蘇大橋の建設工事などが進み、今月22日には立野地区で災害公営住宅40戸が完成する。復興への足音は高まるが、遺族の思いは複雑だ。

 自宅には、片付けられない晃さんの祭壇が置かれたまま。忍さんは「息子と連れだって行った花見を思い出す。優しい子で、花吹雪に歓声を上げていた」。卓也さんは「地震から3年、人々の中で記憶は少しずつ消えていくのかもしれないが、親としてはどこかで心に留めておいてもらいたい」と話した。

=2019/03/17付 西日本新聞朝刊=