中国の大気改善、北九州市が一助 専門家派遣や汚染源研究 「PM2.5」30%減少 福岡も数値低下

 中国の大気環境改善のため、北九州市など全国11都市が2014年度から進めてきた中国13都市との連携事業の成果が見え始めている。北九州市は上海、大連市など最多の6都市に協力。訪日研修や専門家の現地派遣、共同研究が一助となり、6都市の微小粒子状物質「PM2・5」濃度は約30%減少した。効果は巡り巡って福岡県の観測数値の低下にもつながっている。

 上海レストラン協会関係者が2月、中華料理店の調理場から出る油煙の最新対策を学ぶため、北九州市などを訪れた。市職員が案内し、市内のレストランのほか、東京での技術展も視察した。

 環境省予算による同事業の開始から5年間、北九州市は中国6都市から大気対策の行政担当者らを招き、市の関係施設などで大気汚染物質の発生源特定や工場査察の手法を指導する訪日研修を主に展開。その数は延べ37回、222人に達した。市環境国際戦略課は「最新技術に加え、それが適切な使用かを定期チェックする行政の管理能力が重要だ」と指摘する。

 現地での発生源対策にも寄与している。北九州市の仲介による6都市への専門家派遣は延べ107回、421人。例えばPM2・5の原因物資の一つで、塗料やインキなどから発生する揮発性有機化合物(VOC)の削減セミナーを開いた。中国では自動車修理業などで関心が高く、都市ごとの要望に沿ってテーマや専門家を選んでいるという。

 上海市との共同研究では、リアルタイムでPM2・5の成分分析ができる手法を確立。風向などのデータと組み合わせ、どこの工場や施設が発生源かを推定できるようになってきた。

 中国政府による規制強化もあり、北九州市協力の6都市では事業開始時の14年に1立方メートル当たり81マイクログラムだったPM2・5の年平均濃度が、17年には同56マイクログラムまで減少。この間、福岡県内の濃度は北九州市平均で約16%▽福岡市役所の測定局で約20%▽福岡県久留米市中心部で約17%-それぞれ低下した。九州大の鵜野(うの)伊津志教授(環境気象学)は「福岡県内の数値の改善は中国からの流入減が一因だ」と指摘。連携事業を進めてきた環境省も「都市間協力が一定の役割を果たした」(大気環境課)とする。

 一方、北九州市は「中国のニーズに合う技術が市内の企業に少なく、ビジネス展開に結び付く事例が少なかった」と課題も挙げる。事業は新年度も継続となる見込みで、市は引き続きビジネスチャンスを狙う。

 九州ではほかに、福岡県が江蘇省、大分市が武漢市を担当している。

=2019/03/18付 西日本新聞朝刊=

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