【動画あり】「ブラックモンブラン」愛され半世紀 カリカリクランチ、当たり棒…人気の秘密探ってみた

西日本新聞

 竹下製菓(佐賀県小城市)のアイスバー「ブラックモンブラン」が5月に発売50周年を迎える。あっさりとした味わいのバニラアイスをチョコレートとカリカリとしたクランチで包み、九州では定番商品。関東など域外への流通は限られており、九州出身者からは「ブラモンロス」を嘆く声も聞こえるほど。半世紀にわたって愛される理由を探ってみた。

 梅の名所として知られる佐賀県小城市の牛尾山。竹下製菓の製造工場は中腹に立つ。「ようかん産業で栄えた地域だけあって、菓子作りに欠かせないきれいな水が豊富なんです」。同社品質部の矢次一博課長が教えてくれた。

 工場は昨年12月から製造ラインの全面改装を実施。2月下旬の取材当日は改装後初の稼働日だった。巨大なタンクからバニラアイスの原料が注ぎ込まれ、ベルトコンベヤーに運ばれながらゆっくりと冷やされていく。工場では年間2千万本を製造。今年は2割増を目指す。

 「改装で心強い味方を導入しました」。見せてくれたのは、アイス棒の画像認識システムだ。固形のアイスをスキャンすると、中に挿した棒が真っすぐか、文字が逆さまになっていないかを瞬時に判別できるという。

 ブラックモンブラン(希望小売価格は税別110円)の人気の理由はこの当たり棒。これまでは完成した後に確認する方法がなく、当たり部分が持ち手側に出てしまう悲劇もあったとか。「子どもたちのわくわく感を奪わないよう、厳しくチェックしたい」と新システムに期待を込める。

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 ブラックモンブランは、竹下真由社長の祖父にあたる故小太郎氏が考案した。「(欧州アルプス最高峰の)真っ白なモンブランにチョコをかけて食べたらどんなにおいしいだろう」と試行錯誤を重ね、1969年5月7日に発売の日を迎えた。

 当たりが点数制のアイス棒は「当たりやすい」「また買いたい」と子どもたちの人気を集め、機械導入で大量生産が可能になると瞬く間に九州全域に広まった。矢次さんは「特賞の当たりくじは子どもにとって宝物だった」と振り返る。

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 先代社長の敏明氏は、東京など関東圏での流通も模索したが、製造量や輸送体制がネックとなり本格的な進出は断念。ただ、九州限定にこだわっているわけではない。竹下社長は「おいしいものを作っている自信はあり、より多くの人に味わってもらいたい」と話す。関東圏でも一部の小売チェーンに商品を卸しており、販路拡大も視野に入れる。

 50周年の今年は、クランチが落ちない商品が欲しいとの声にも応え、初のカップタイプも販売する。「3世代に愛され、全国でファンを獲得しつつある。50年の感謝を胸に、挑戦もしていきたい」と意気込む。

 取材の最後に、出来たて“冷え冷え”のブラックモンブランを頂いた。かじりついた瞬間、ぽろりとこぼれ落ちるクランチ。クッキーとアイスを一緒に食べるようなぜいたくな食感がやみつきになる。1本平らげて棒を見ると…はずれ。悔しさとおいしさで、もう1袋開けたい欲求に駆られた。「ブラモンロス」の理由が少し分かった気がした。

ブラックモンブラン雑学

"夏枯れ対策”きっかけ

 ブラックモンブランを筆頭に「ミルクック」や「トラキチ君」などのアイスで有名な竹下製菓。売上高の7割以上をアイス事業が占めるが、祖業はキャラメルなどの製菓事業だった。創業から120年以上の歴史を誇り、九州でも有数の老舗菓子メーカーだ。

 アイス製造に乗り出したのは60年ほど前。菓子の受注が冬場に集中するため“夏枯れ対策”として始めたのがきっかけだった。

 ブラックモンブランのヒットで収益の柱はアイス事業へ偏り気味。5代目の竹下真由社長は製菓事業にも力を入れる。「マシュマロで土産市場を開拓し、菓子製造も収益の柱に育てたい」

「110点」「50点」「10点」の三つの当たり

 食べ終わると、もう一つのお楽しみ-。ブラックモンブランといえば「当たり」。原点は竹下製菓が戦後に発売したキャラメルに付けたくじで、大手製菓メーカーに対抗する“武器”だった。当たりは当初、「竹」の字を刻んだこてをバーに焼き付けて表示。その後、絵柄のそろい方や、並んだ数字を合計するなど多彩になった。

 現在は「110点」「50点」「10点」の三つの当たりがあり、110点で1本交換できる。「良く当たる」と言われるが、もちろん景品表示法で定められた範囲内。「10点の割合が多いので、当たった気分を多く味わえるのかも」と社員。

パッケージ写真 社長自ら

 ブラックモンブランといえば、澄み切った青空と、アルプス最高峰「モンブラン」の雄姿を写したパッケージだ。竹下製菓は発売50周年を迎えた今春、この写真をリニューアルした。新たなカットは竹下真由社長自ら現地フランスへ足を運び、カメラを構えた。

 フランスとイタリアの国境に位置するモンブラン。写真は昨年8月、フランス側の麓、シャモニーから撮影した。青空と白い尾根のコントラストにこだわり、3日間通ったという。竹下社長は「『次の50年を戦う』という決意表明をしたかった」。

=2019/03/20付 西日本新聞朝刊=

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