【地域の針路】朝倉復興へ論戦期待 県議選、市議選とも多数出馬へ 被災者「具体的支援策を」

西日本新聞

 2017年の九州豪雨で最も大きな被害を受けた福岡県朝倉地方が統一地方選に向け、熱気を帯びている。県議選朝倉市・郡区(定数2)には11年の合区以来、過去最多の5人が出馬を予定。朝倉市議選も定数18に24人が立候補の構えだ。地方での議員のなり手不足が問題となる中、異例の活況。背景には、今なお多くの人が生活する応急仮設住宅の入居期限が夏に迫り、地域再生に向けたヤマ場を迎えている現状がある。

 今月中旬、4人いる県議選の新人予定者の1人が同県朝倉市の仮設住宅を訪れた。屋外にいた1人暮らしの70代男性が思いをはき出した。「復旧事業が進んどらんけん、家の再建計画すら立てられん。なんで、仮設住宅ば出ないかんとね」

 予定者は約2時間、耳を傾けた。自身も、自宅が濁流に襲われて半壊となり約4カ月間、避難生活を送った。同市と、隣接する東峰村では約100世帯が仮設住宅に暮らす。予定者は「被災者の声を代弁します」と誓い、その場を離れた。

 豪雨から1年8カ月。立候補予定の現職県議は直後から軽トラックで被災地を回った。ずたずたに壊れていた河川の改修は、どういう河道で復旧するか示されたばかり。現職は「復旧の流れを止めるわけにはいかない」と語気を強める。

 基幹産業の農業も大打撃を受けた。国の補助を受ける復旧対象の農地は朝倉市だけで761ヘクタールあるが、市が事業を完了したのはそのうち4分の1。稲作や果樹栽培を再開できない農家もある。農業を営む別の新人は「再建へ営農集団を育成したい」と力を込める。

 前回県議選は無投票。当選した林裕二氏がその後、朝倉市長になりポストがあいた。今回、林氏の元秘書も含め、政治家秘書経験のある新人2人も立つ。「秘書時代に築いた国や県とのつながりを生かす」と語る。

 市議選も前回より3人予定者が多くなる見込みで、新人が8人を占める。

 高齢化率が30%を超える地域。「復興」の掛け声は盛んだが、長い再建の道筋は明確とはいえない。「具体的な提案ができる人が議員になってほしい」。被災住民の一人は祈るように語った。

 他の被災地の状況 災害の相次ぐ九州。統一地方選における他の被災地の状況はどうか。九州豪雨の被害が激しかった大分県日田市では県議選は無投票の見込み。市議選も定数22に25人が出馬を検討中だが、前回2015年の28人より少ない。熊本地震の被災地、熊本県では県議選21選挙区のうち11が無投票になる見込み。それぞれの地域の選挙事情などで違いがあるようだ。

=2019/03/21付 西日本新聞朝刊=

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