障害者採用、公平性に疑問 配慮不足の質問、能力や経験問われず

西日本新聞

 障害者雇用水増し問題を受け政府が初めて実施した障害者向け国家公務員試験で22日、九州地区では58人が合格した。合格者からは新しい職場への期待の声も聞かれるが、2次試験の申し込みが先着順で締め切られたり、面接で「できない仕事」ばかり聞かれたりするなど公平性や配慮の不足を指摘する声も上がっている。採用方法と同時に、いかに働きやすい職場をつくるかもなお課題となっている。

 「任された仕事をこなせると周囲に証明できれば他の障害者の雇用も進むはず」。合格が発表された22日、身体障害者の男性は決意を新たにした。「次に続く人たちのためにも責任感を持って働きたい」

 しかし、2次試験の面接で不採用だった40代の身体障害者男性の受け止めは異なる。試験は1次が各機関共通の筆記試験で、2次は個別機関が実施する面接形式。男性は5カ所の機関のうち3カ所の面接で「できない仕事は何ですか」「健常者と比較して劣る点は」などとしつこく尋ねられたという。面接時間の半分が同様の質問だった所もあり、腹が立った。「障害について詳しく知りたいのは分かるが、自分の能力や経験も見てほしかった」。一方で職歴や学歴を踏まえ「こんな仕事はできますか」と提案してくれる所もあり、意識の差を感じたという。

 試験を巡っては(1)面接受け付けが先着順で締め切られる(2)全員の受験が終わる前に内定を出す-などが判明。「早い者勝ちは不公平」と批判が相次いだ。「面接期間が短く予約を取るのも難しかった」と指摘する50代の精神障害者女性は「そもそも視覚や聴覚、知的など障害によって仕事内容にも得手不得手があるのに同じ試験を受けるのが公平なのか」と疑問を呈した。

 九州地区は891人の申し込みに対し合格者は58人。全国9地区で2番目の高倍率だった。中には、障害のため転勤が困難などと告げ、不採用になった人もいる。精神障害者の家族などでつくる福岡県精神保健福祉会連合会の一木猛会長は「市町村など身近な行政機関でもっと障害者採用を拡充すべきだ」と訴える。

 水増し問題を受けて19日に閣議決定された障害者雇用促進法改正案では、行政に対し働きやすい職場づくりに向けた「障害者活躍推進計画」の策定を義務付けた。採用後、障害者の職場定着は進むのか-。一木会長は「職場内に同じ障害者や支援者を配置したり、働く時間や求める業務の難度を段階的に引き上げたり工夫が必要だ」と提案する。

=2019/03/23付 西日本新聞朝刊=

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