ふるさと創生1億円どう活用? 筑後は基金創設主流 海外研修や文化継承も

西日本新聞 筑後版

 地域づくりのため使い道を限定しない1億円が1988~89年度、全国約3300の自治体に一律交付された。いわゆる「ふるさと創生1億円事業」だ。東京への一極集中が進む中、竹下登政権が「地方が知恵を出し、国が支援する」との新しい発想で提唱。地域活性化の期待を集めた。

 自治省(現総務省)が90年11月にまとめた最終報告によると、1億円を使って1自治体当たり平均3・3件の事業を手掛けた。人材育成などのソフト事業が建物建設などのハード事業の2倍余りに上ったという。

 大分県中津江村(現日田市)は、村内の鯛生(たいお)金山にちなんで純金製の「黄金鯛」を購入。観光施設で展示し話題となった。「日本一づくり」も盛んで、宮城県志波姫町(現栗原市)の「水車」、島根県仁摩町(現大田市)の「砂時計」などのモニュメントが次々と設置された。温泉開発調査、公園整備、文化賞設立も相次いだ。

 一方、北海道伊達市は道の駅に大理石の豪華なトイレを建設。秋田県仙南村(現美郷町)はカラオケなどを備えた遊興施設を建てるなど、地域づくりの観点から疑問符が付くケースもあった。住民アンケートで使い道を募った自治体も多く、1億円の活用法に悩んだ様子がうかがえる。

 筑後地区では基金化し、各種の事業に運用益を充てた自治体が多かった。大牟田市の「わくわくシティ基金」や久留米市の「ふるさと文化創生基金」は、市民の海外研修費や音楽イベントなどに用いられた。広川町は毎年、小学5年生をヘリコプターに乗せて空中遊覧を体験させた。

 郷土色豊かな施策も多い。大川市は地元出身の作曲家古賀政男の継承事業に取り組んだ。古墳時代の豪族磐井の墓とされる岩戸山古墳がある八女市は、磐井を主人公にしたアニメーション映画を制作した。

 ただ、山川町(現みやま市)が整備したパラグライダー場は閉鎖されるなど、全ての事業が成功したわけではない。国と自治体は今後地方創生の取り組みを進める上で、1億円事業で得た経験を糧とすべきだろう。

=2019/03/23付 西日本新聞朝刊=

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