ロープウエー断念 博多港への足強化は必要

西日本新聞

 福岡市の高島宗一郎市長が、博多港のウオーターフロント(WF)地区とJR博多駅を結ぶロープウエー構想の推進断念を表明した。高島氏が「私の夢」と意欲を示し、昨年秋の市長選で公約に掲げたが、進め方が性急過ぎるなどとして市議会や市民の理解が得られなかった。その政治判断の是非とは別に、将来を見据え、この地に望ましい公共交通システムは何か、検討する必要性はなお残っている。

 市は、博多港の中央ふ頭・博多ふ頭周辺約65ヘクタールのWF地区を博多、天神に次ぐ都市拠点にする再整備事業を進めている。官民連携で外国クルーズ船の受け入れ機能を強化し、ホールやホテルなどの大型コンベンション関連施設を拡充する計画だ。

 市が2016年に再整備構想を策定するに当たりアイデアを募った際、民間提案に含まれていたのがロープウエー構想だ。市も道路空間を立体的に活用する新たな交通システムは必要と判断し、18年1月に有識者らによる研究会で検討を始めた。

 そもそもWF地区には、市営地下鉄七隈線が天神南から延伸する計画だった。採算面で着工が見送られ、博多駅へのルートが優先整備されているが、計画は残っている。研究会は、こうした経緯を踏まえ地下鉄やモノレールなど八つの手段について輸送力や経済性などを比べ、今年1月、「ロープウエーが望ましい」と結論を出した。事業費の安さや景観などが決め手とされた。ただ、具体化を検討する予算に待ったがかかり、断念表明となったのが現状だ。

 博多港は今でも、外国クルーズ船の寄港回数が5年連続全国1位となるなど、玄関口としてにぎわう。一帯にあるホールなどでのイベント時には人出が重なる。2台つなぎの連節バスや臨時バスなどで対応しているが混雑を十分さばけていない。

 市は、中央ふ頭一帯に機能集積が進む20年後には、人の動きが3倍になると試算している。バス頼みでは限界がある。交通アクセスの強化は欠かせない。

 平地にある都市型ロープウエーは国内には例がない。横浜市で東京五輪までに導入する動きがあるが、海をまたぐルートで、整備運営費は民間が負担し、主に観光客の利用を見込むなど福岡とは事情が異なるようだ。WF地区の参考事例として適しているかは議論があろう。

 先の有識者らの研究会も、3回目の会合で結論を導くなど拙速の印象は残る。交通インフラは街づくりを左右する。九州のゲートウエーとしてふさわしい交通手段について、ロープウエーや地下鉄延伸も選択肢として排除せずに、一から多角的に考え直してはどうか。

=2019/03/24付 西日本新聞朝刊=