仮設団地、6市町村集約へ 熊本地震3年 孤立防止、防犯図る

西日本新聞

白旗仮設団地でのお別れ会。この3年間の思い出話で盛り上がった=24日午後、熊本県甲佐町 拡大

白旗仮設団地でのお別れ会。この3年間の思い出話で盛り上がった=24日午後、熊本県甲佐町

 熊本地震から間もなく3年となり、災害公営住宅の建設も本格化する中、建設型仮設住宅がある熊本県内15市町村(105団地)のうち、新年度から団地集約を進める自治体が6市町村に上ることが、西日本新聞のまとめで分かった。退去者が増えて空洞化する仮設団地で、自宅再建を待つ人の孤立化防止や防犯対策といった狙いがある。

 県によると、建設型仮設住宅の入居者数は2016年12月のピーク時に1万1027人に上り、今年2月末時点で5割弱の4986人に減少した。

 震度7を2度観測し、県内最多の1562戸(18団地)の仮設住宅を整備した益城町では、被災者の生活再建が進み、今年2月末時点での入居は896戸。町は「残った入居者の孤立防止などが必要」として団地集約を決定。入居期限を延長する世帯が確定する7月ごろに計画を策定し、20年6月の実施を目指す。西原村も7月をめどに集約し、5団地を1団地にする。

 阿蘇市は全ての災害公営住宅(71戸)の整備を終える19年末に集約する。11団地がある嘉島町も「1、2世帯しか残らないような団地もあり、防犯上危ない」として、今夏と年末の災害公営住宅の完成に伴い集約を進める考え。宇城市、美里町もそれぞれ19年度中に一部の団地を閉じる。

 既に集約を終えたのは大津町のみ。昨年5月、災害公営住宅の建設地を確保するため団地の解体に県内で初めて着手し、6カ所を4カ所に集約した。

 一方、熊本市は「何度も転居させることは被災者の負担になる」として集約しない方針。甲佐町や南阿蘇村など4市町村は集約の有無も未定という。

 熊本地震では県内16市町村に110団地が整備された。昨年、2団地を村有住宅に転用した産山村でゼロになり、3団地は集約などで閉鎖した。

■「第1号」でお別れ会 甲佐町

 2016年6月に熊本地震の仮設住宅として最初に完成した白旗仮設団地(熊本県甲佐町)で24日、お別れ会があった。町内に最後の災害公営住宅が完成し、4月に入居が始まるのを前に、元住人も駆け付け、約50人が食事をしながら別れを惜しんだ。去る人、わずかに残る人。さまざまな思い出を胸に、震災3年の春を迎える。

 白旗団地には、当初90世帯が暮らした。自宅が大規模半壊し、両親と3人で入居した会社員森口真由美さん(53)もその一人。17年6月の退去後も団地と交流を続け「ここの生活、出会い。感謝の気持ちでいっぱい」と、お別れ会にやってきた。

 保育士の経験を生かし、みんなが利用する集会所の壁を四季の折り紙飾りで彩った。正月、アジサイ、こいのぼり…。“衣替え”のため、退去後も毎月訪れた。3月に飾ったのは「ありがとう」。旅立ちを祝う桜をあしらった。

 1人暮らしの本郷建司さん(86)は来月、災害公営住宅に入居する。「みんなと離れるのが寂しか。ずっとおろうごたる」

 入居時は、戸惑いばかりだった。知り合いはおらず、狭い部屋に気がめいった。活力をくれたのは、毎週金曜の午後から住民が集う「語ろう会」。仲間ができ、よく笑うようになった。「家族のような存在の人がたくさんできた」とかみしめる。

 自宅再建が間に合わず、今後も仮設に残るのは8~10世帯の見込み。自治会長の児成(こなり)豊さん(64)もそうだ。白旗を含め6団地がある甲佐町では、仮設の集約などは未定。「これだけ少なくなると自治会の活動は難しいが、今後も各戸の声掛けや、防犯に目配りしたい。築いた絆は終わりじゃないよ」

=2019/03/25付 西日本新聞朝刊=

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