【小児がん 母と娘の闘病日記】(8)母から どうしてわが子だけが…

西日本新聞 医療面

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芙優の入院当時、私と夫が書いていた日記

 9歳で白血病と診断された長女芙優(ふゆ)の入院から10日目。抗がん剤治療が始まりました。朝から心配で落ち着かない。今後の治療計画や副作用の説明を受けましたが、さっぱり頭に入ってきませんでした。

 抗がん剤は8種類ほど。腰からの注射で脊髄や脳に作用する薬もありました。脱毛、神経障害、嘔吐(おうと)、膵(すい)炎…。数えきれない副作用が書いてあります。どうか無事に乗り切ってほしい。

 実は入院から約2週間、私は個室に引きこもっていました。現実を受け入れるのに時間がかかったのかもしれません。用事があって自宅に帰ることもありましたが、芙優が通っていた小学校の前を通る時が一番つらかった。みんな元気に通っているのに、どうしてわが子だけがこんな目に遭わなければならないのか。悔しさで涙がこぼれました。

 小児がんは原因不明で、生活習慣のせいでも食べ物のせいでもありません。何かのせいにしたくてもできないのです。「私、悪いことなんかしてない。神様なんていない」。娘は忘れていますが、当時そう言ったのを鮮明に覚えています。

 混乱から抜け出せなかった私ですが、主治医や看護師、院内学級の教員、心理士の方々に話を聞いてもらうことで、少しずつ周りが見えるようになってきました。病棟には大人に交じって子どもたちもおり、ほとんどの家族が私と同じように付き添っていました。

 当時の古い病棟は病室も狭く、付き添いベッドは折り畳みの最小サイズしか置けません。横向きに眠る毎日でしたが、慣れてしまうと不思議と眠れました。

 芙優が院内学級に行っている間、私は病院近くのスーパーに買い出しへ。患者の食事は出ますが、付き添い家族は自分で3食用意しなければなりません。食費も交通費もかかり、経済的にも大変でした。

(山本章子=がんの子どもを守る会九州北支部代表幹事)

=2019/03/18付 西日本新聞朝刊=

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