岡山県の中学2年、小西珠生(たまき)さんは昨年、自主夜間中学で勉強を手伝うボランティアに参加して驚いた…

西日本新聞

 岡山県の中学2年、小西珠生(たまき)さんは昨年、自主夜間中学で勉強を手伝うボランティアに参加して驚いた。10代から80代まで、5カ国の約40人が自分と同じ「中学生」として学んでいたからだ

▼ある男性が話してくれた。外に出ると不安になる。看板や案内の文字が読めない。そんなことも分からない自分は「クズ」だと思ってしまう-。男性は幼い頃の病気で小中学校にほとんど行かなかった。読み書き、計算ができないので仕事を選べず、恥ずかしい思いを数え切れないほどしてきたという

▼小西さんは「何のために学ぶのか」と考えたこともなかった自分が恥ずかしく、いかに恵まれているかを痛感したそうだ。昨年の全国中学生人権作文コンテストの最優秀作品から引いた

▼夜間中学は、戦後の混乱で勉強できなかった人や、義務教育を修了しないまま日本に移り住んだ外国籍の人、不登校だった人など、さまざまな事情を抱える人たちに義務教育段階の学力を身に付ける機会を提供する場だ

▼だが、公立の夜間中学は全国に31校しかなく、九州はゼロ。それに代わる自主夜間中学・識字講座は307カ所(うち九州は11カ所)。ボランティアらが支えている。「都道府県に少なくとも1校の公立夜間中学設置」(文部科学省)という目標に、現実は程遠い

▼統一地方選が始まった。「学び直したい」という願いに、地域から光を当てる政策論議も聞きたい。

=2019/03/26付 西日本新聞朝刊=

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