九州の前線基地化進む 奄美にミサイル部隊 佐世保に水陸機動団 中国念頭に南西諸島防衛

西日本新聞

 陸上自衛隊は26日、鹿児島県・奄美大島と沖縄県・宮古島に新たな駐屯地や分屯地を開設した。中国の軍事的な脅威を念頭に、政府が進める離島防衛強化策の一環。長崎県佐世保市には離島防衛部隊「水陸機動団」の分屯地も開設。陸自が配備されていない南西諸島の「空白地域」が解消されることになり、九州・沖縄の前線基地化が一段と進む。

 「今、日本の守りの最前線は南西地域だ。ここは1200キロの幅がある。ここにおける防衛力、抑止力をしっかり構築していきたい」。岩屋毅防衛相は26日、閣議後の記者会見で南西地域の離島防衛を強化する必要性を強調した。

 陸自によると、奄美大島には奄美駐屯地(奄美市)と瀬戸内分屯地(瀬戸内町)が開設される。

 奄美は初動対応を担う警備部隊、航空機や巡航ミサイルを迎撃する地対空ミサイル部隊が置かれ、約350人が配備される。瀬戸内には警備部隊と、艦艇に対処する地対艦ミサイル部隊の約210人が駐留する。

 宮古島に開設する宮古島駐屯地には警備部隊約380人が配備され、2020年以降に地対空ミサイル、地対艦ミサイル部隊が置かれるという。

 防衛省の計画では、南西の離島が侵攻された場合には、昨年3月に北熊本駐屯地(熊本市)の第8師団に配備された第42即応機動連隊や、相浦駐屯地(佐世保市)に配備された水陸機動団などが投入され、南西諸島の駐屯地や分屯地を拠点に対処する。

 防衛省は離島への配備計画を進め、16年に日本最西端の沖縄県・与那国島に沿岸監視隊を配備。石垣島でも警備部隊などの配備に向けた工事に着手しており、完成すれば南西地域の部隊配備計画が完了する。

 離島防衛を強化する背景には、中国の太平洋への進出がある。中国海軍は沖縄、台湾、フィリピンを結ぶ第1列島線内で制海権を握ることを目標にしており、近年は伊豆諸島からグアム、パプアニューギニアをつなぐ第2列島線付近まで活動域を広げている。18年1月には中国潜水艦が沖縄県・尖閣諸島周辺の接続水域を潜航したことが初めて確認された。

 陸自研究本部(現教育訓練研究本部)の第1研究課長だった吉富望・日本大危機管理学部教授は陸自の離島防衛策を評価。「有事の際に米軍の援護を受けるためには、第1列島線を越えようとする中国軍を抑止する必要があり、対空・対艦ミサイル部隊の配備は妥当だ」と述べた。

 だが、駐屯地が新設された地元の住民には反発の声もある。「戦争のための自衛隊配備に反対する奄美ネット」の城村典文代表は「抑止力の名の下に軍事拡大を進めているだけ。島に部隊が置かれると島が標的になる。理解できない」と訴える。

=2019/03/27付 西日本新聞朝刊=

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