【ヒットの秘密 ジブリの大博覧会】(上)女性主人公 理想像は監督の母親

西日本新聞

サツキ(C)1988StudioGhibli 拡大

サツキ(C)1988StudioGhibli

千尋(C)2001StudioGhibli・NDDTM ドーラ(C)1986StudioGhibli ナウシカ(C)1984StudioGhibli・H

 「となりのトトロ」のサツキ、「千と千尋の神隠し」の千尋、風の谷のナウシカ-。ジブリ作品に登場する女性主人公には共通点がある。みんな「けなげでいちず」なのだ。

 サツキは病気の母に代わって父親と妹の世話をし、千尋は豚に変わった両親を助けるために異界の風呂屋で働く。愚痴や泣き言は言わず、いつも前向きで健康的だ。そんな女性像は一体どこから生まれたのか。

 「あれは宮崎駿監督が抱く理想の女性像。モデルは母親だと思います」。スタジオジブリの取締役制作業務部長、野中晋輔さんがそう謎解きをしてくれた。母親は、次男の宮崎監督を含めて4人兄弟を育てた。病気を患っていたが、明るくしっかりした女性だったという。

 宮崎監督は1941年生まれ。終戦前後の母親の姿が投影されているのなら、女性主人公たちがけなげに頑張るのも納得できる。その母親に最も近いのは「天空の城ラピュタ」の豪快な空の女海賊(空賊)ドーラだという。ドーラは女手一つで息子3人を育てた設定になっている。

 登場人物にはもう一つ共通点がある。連続殺人犯やテロリストのような絶対的な悪人がいないのだ。その点について、宮崎監督は解剖学者の養老孟司さんとの対談でこう語っている。

 「殺しても惜しくない人間を映画に用意しておけば、いくらでも殺せるわけです。それをやったらおしまいだと思うから、なるべくいい部分で人間たちを出そうと自分に課したんです」

 宮崎作品の悪人には、どこか人間的な魅力がある。それは、悪人をどんどん殺して、見る人を「人間嫌い」にしたくないから。けなげな主人公と憎めない悪人たち。それが「単純に楽しい、元気になる映画」(野中さん)を作る秘訣(ひけつ)の一つなのだ。

 ▼ジブリの大博覧会 福岡市早良区百道浜3丁目の市博物館で開催中(月曜休館)。西日本新聞社、FBS福岡放送の実行委員会主催。一般・大学生=1400円、中・高校生=1000円、4歳~小学生=600円。問い合わせはFBS福岡放送内=092(532)1111(平日午前9時半~午後5時)。

=2019/03/26付 西日本新聞朝刊=

PR

PR

注目のテーマ