僕は目で音を聴く(42)うれしかった反響は

 連載を始めてもうすぐ1年。多くの反響がありました。一番印象的だったのは病院での対応が改善されたことです。

 受診に行って、受付で患者の名前を呼ばれるだけでは、ろう者は自分のことだと気づけません。そうしたことを紙面で紹介するとすぐ、私が定期的に通う病院の受付に、「耳が不自由・筆談」と書かれた小さな透明のプラスチックカードが置かれました。聞こえない患者はこれを示せば、病院側にろう者であると分かってもらい、配慮をいただけるわけです。

 ろう者の知り合いによると、病院で手話を使い始めると、相手がマスクを外してくれるようになったそう。相手の口の動きによって内容を理解する「読唇術」によってコミュニケーションすることを紹介した記事がきっかけだったようです。病院側が聴覚障害者にきちんと歩み寄ろうとしている姿勢を感じ、本当に感動しました。

 私にも直接、聴覚障害者を全く知らなかったという聴者から「勉強になった」という反応があります。全国各地の手話サークルなどが、連載を題材に勉強会を開いてくださっているとも聞き、うれしい限りです。

 幸い、内容に対するあからさまな批判はありませんでしたが、障害の当事者の方から「配慮を声高に求めるばかりでなく、理解してもらうために自らできることは工夫するなど、努力も必要では」との指摘もいただきました。共感してもらうにはもちろん、主張の押しつけだけでは反発を受けかねません。配慮を求める側にも相手への気遣いや余裕が必要であると、あらためて意識したところです。

 14日は障害者差別解消推進の功績者として、福岡県知事から表彰されました。「これからも頑張ってください」と激励の言葉をいただき、もっと障害者の手助けになる活動をしていけたらと思うようになりました。

 1人では何もできません。皆さんと力を合わせ、お互いの立場を尊重しながら、過ごしやすい世の中の在り方を考えていきたいです。

(サラリーマン兼漫画家、福岡県久留米市)

 ◆プロフィール 本名瀧本大介、ペンネームが平本龍之介。1980年東京都生まれ。2008年から福岡県久留米市在住。漫画はブログ=https://note.mu/hao2002a/=でも公開中。

=2019/03/21付 西日本新聞朝刊=

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