誤判の徹底検証不可避 松橋事件再審無罪

西日本新聞

 【解説】松橋事件の再審無罪判決で熊本地裁は、高齢の宮田浩喜さん(85)の早期救済を最優先する姿勢を示す一方、かつて殺人罪で有罪とした「誤判原因」には触れなかった。なぜ司法は判断を誤り、その過ちを早く正せなかったのか-。冤罪(えんざい)を繰り返さないためには今後、徹底的に検証し、再発防止策を打ち出す必要がある。

 再審無罪となった事件を裁判所が調査し、公表した例はない。最高裁事務総局は「個別の裁判の当否の評価になりかねず、裁判官の独立を侵す恐れがあるため検証は困難」と説明する。検察も2010年に再審無罪となった「足利事件」など2件で検証報告書を公開しただけだ。

 宮田さんは捜査段階で自白した後、公判途中で否認に転じた。しかし、地裁から最高裁まで3度の司法判断は自白の信用性を認めて有罪が確定。弁護団が検察の保管証拠から「燃やしたと自白した」はずの布片を発見し、新証拠として再審請求審に提出するまで、自白の内容が虚偽だとは見抜けなかった。

 検察側が都合の悪い証拠を隠し、開示への制度的担保もない現状を放置していいのか。海外では、誤判検証のために国が動く例も目立つ。過去の反省に立つのなら、司法の検証は避けて通れない。

=2019/03/29付 西日本新聞朝刊=

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